走査電子顕微鏡による試料中の元素の分析

走査電子顕微鏡(SEM)は、1938年にドイツのアルデンネによって初めて試作された。試料の表面に電子レンズを用いて極めて細く絞られた電子ビームを照射し、その照射位置を試料の表面上の微細な部分で走査し、電子ビームに刺激されて試料から放出される2次電子を電子線検出器で捉える。その強度をビームの照射位置と同期させて、ブラウン管上に表示することにより、固体の形状の拡大像を観察するものである。主として金属、セラミックス、プラスチックなどの表面の形状、あるいは固体微粒子、繊維などの微小物体の形状の観察に使用されている。
その後、試料に照射された電子ビームに刺激されて試料中の原子から各元素の特性X線が放出されることを利用し、このX線をX線検出器で捉え、観察中の試料表面の微小部分における元素の定性あるいは定量分析が行われるようになった。
最近では、X線検出器として、半導体検出素子を用いたエネルギー分散型のものを使用することにより、複数の元素を同時にしかも迅速に分析できるようになった。

ここに示したのは、走査電子顕微鏡に取り付けられたエネルギー分散型のX線検出器を用いて行われた、石綿の一種のトレモライト中の元素の分析結果を、元素ごとのX線の強度ピークとしてカラーブラウン管上に表示したものである。
トレモライトは2CaO・5MgO・8SiO2・H2Oのような化学構造式をもっているが、この結果ではトレモライトの主成分であるCa、Mg、Siが多量に検出され、その検出濃度はそれぞれの元素の化学構造式における構成比とよく一致している。また、不純物としてFeとCuが含まれていることもわかる。

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