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No.21 ナノメーターの世界をのぞく -Ni超微粉の接触面

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

ニッケル(Ni)超微粉は、積層セラミック・コンデンサーの内部電極材料として工業化が期待されている新素材である。この製造は、従来はガス中蒸発法という物理的な方法によって行われていたが、製造コストが高いことから工業的手法としてニッケルの塩化物(NiCl2)の蒸気を水素還元する方法が開発されている。

上の写真は、この方法を用いて、NiCl2の蒸発および還元を1000℃付近で行い、製造された球状Ni超微粉(粒径は約0.3μm)のうち、2個の粒子が接触している部分を、加速電圧が400kVの透過電子顕微鏡(TEM)で観察した例である。Ni粒子の表面には、厚さが約3nm(ナノメーター、1nmは100万分の1mm)の薄い酸化膜が存在し、2個の粒子はこの酸化膜を介して接触している様子が明瞭に観察される。酸化膜の組成は、TEMを用いた電子回析像の結晶構造解析からNiOであることが確認されている。

またNiO超微粉の一部には、金属Ni粒子同士が結晶学的に完全に結合している(ネックを形成している)場合も観察される。上の写真のようにNi粒子同士が結合しているのか、あるいはネックを形成しているのかを判別するには、金属NiとNiOの界面が明瞭に観察できることが重要である。したがって、粒径が0.3μm程度のNi超微粉の酸化膜を観察するには加速電圧の低いTEMでは困難であり、400kV程度のTEMで高倍率で観察する必要がある。

製造直後のNi超微粉は、その表面が科学的に活性であり、酸化膜は約3nmの厚さまで成長を続けるが、その後の経時変化はほとんどなく、安定した超微粉である。

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