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No.23 自然の造形の巧みさ-天然繊維のミクロの姿

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)は、試料に照射される電子ビームの加速電圧を低くできることから、試料中を流れるビーム電流の発熱作用による試料の損傷が少なく、また、ビーム電流による試料表面の帯電を原因とする電子ビームの乱れが少なく、鮮明な映像を得ることができる。
そのために、FE-SEMは、とくに生物体のような、導電性が低く高温で分解しやすい物質で構成されている有機物などの観察に適している。導電性の低い試料の観察に際しては、通常のSEMの場合には、試料の表面に炭素や金などの導電性の高い物質を蒸着して導電性を持たせることが必要であるが、FE-SEMの場合には、この蒸着操作を全く行わないか、または試料の表面状態にはほとんど影響を与えない程度に蒸着層を極めて薄くすることが可能である。

ここに示すのはFE-SEMで観察した天然繊維の拡大像である。左側の写真は羊毛の拡大像であり、その形態は円形に近い断面を持った、細かい屈曲がほとんど無い棒状のもので、その表面に微細な鱗状の凹凸が見られるのが特徴である。
右側の写真は木綿の繊維の拡大像であり、その形態は二本の紐状のものを互いに平行に並べて一体とし、それを少し捩ったようなもので、その表面は比較的に平坦であるのが特徴である。

FE-SEMは、生物体のほかにも、人造繊維の形状、プラスチック製品の破損部の形態の観察、あるいはこれらの有機物の小片を含む塵埃の発生源の調査などにも適しており、今後の活用が期待されている。

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