KPシートの内部構造のSEM観察

スタンパブルシートは、繊維材料を熱可塑性樹脂でかためたシート状の素材をいい、プレス機を用いた成形加工(スタンピング)に適している。「KPシート」はその一種で、ケープラシート株式会社がガラス繊維(GF)とポリプロピレン(PP)を用いて、抄紙(紙すき)法により実用化したものである。KPシートは、自動車内装基材として天井材(写真右上)やリアパッケージなどに、また吸音特性に優れることから強度特性、成形性のよい吸音材にも用いられている。平板の材料(KPボード)は合板代替用にコンクリート型枠、耐食パレット、トラック床材などに使用されている。

KPシートの製法は、まず、十数mmに切断したGFを単繊維にまでPP粉末とともに分散させた後、抄紙技術により不織布状(ウェブ)にする。次にこのウェブを熱プレスで過熱・圧縮してPPを溶融させ、GFに十分含浸させた上で、冷却しつつ加圧すると、緻密な構造でかつ強度のあるシート状製品(KPシート、右下のSEM写真はその破断面を示す)となる。PPの融点以上に加熱すると、もとのウェブの状態に戻ろうとするGFの剛性でスプリングバックを起こし膨張する(これはスタンパブルシートでは、抄紙法で製造されたもののみの特徴)ので、軽量で剛性のある製品を成形することができる。この成形法は膨張成形とよばれ、もとの2~4倍程度の厚みに数kgf/c 以下で成形可能である。

左の写真は膨張成形後のKPシートの内部を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したものである。単繊維状態になったGF同志が接触した部位においてPPによって固定されている状態が観察される。緻密なKPシートが厚み方向に膨張する際に、溶融したPP自身の表面張力などによりGFの接触点付近に集まるものと考えられる。
KPシートが軽量、高剛性などの特性を有する理由がここにあり、「形状保持性を有するガラス繊維材料」と呼ばれる所以である。

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部