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No.47 FE-AESを用いた鋼中TiC系析出物断面の元素マッピング

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

オージェ電子分光法(AES: Auger Electron Spectroscopy)は、金属、半導体材料の表面分析法として広く用いられている分析法で、極表面での微小領域の元素分析が可能であり、またイオンスパッタにより順次深さ方向分析も行える特徴があります。FE-AESは、電界放射型(FE:Field Emission)電子銃を搭載しているため、分析を行ったり画像を作り出すための一次電子線の輝度が従来型のLaB6フィラメントに比べて50倍も高くなっています。電子銃のビーム径を15nm程度まで絞り込むことができ、また高感度の検出器と組み合わせることで同程度の微小領域の分析が可能となっています。

2枚の写真は、FE-AESを用いて鋼の研磨面で観察されたTiCを主とする複合析出物断面の元素分布マッピング像です。元素種は色に対応して示されており、写真1ではC、TiとFeが、写真2ではO、SとTiが示されています。

写真1では青地の鉄マトリックスにTiC析出物の断面が明瞭に見られますが、サブミクロンサイズの他の組成の析出物と複合的に析出している様子が視覚的に把握できます。差し渡し2μm程度の析出物が卵のような核構造を持っていてTi濃度の高い外側部分では周辺に行くほどC濃度が高いことがわかります。

写真2では、中心部分に酸化物があり、その中にSが濃化してSの緑とOの赤が混ざって黄色になっている部分も見られます。これらのことから、この析出物の複雑な析出過程が反映されていると思われます。

FE-AESでは、透過型電子顕微鏡(TEM)のように難しい薄膜化の試料調整を行う必要はなく、バルク試料を簡便にそのままの状態でサブミクロン領域の組成分析が可能です。そのため応用範囲が急速に拡大しており、今後本手法がますます発展すると期待されます。

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