TEMで観察した六方晶BN粉末

六方晶窒化ほう素(h-BN)は、昇華温度が3000℃と非常に高く、高温での電気絶縁性、誘電耐力に優れています。また化学的にも安定で、熱膨張が少なく熱伝導性がよいという特性を持っています。結晶構造は黒鉛と同じ六方稠密構造(六角柱)で、窒素原子とほう素原子がそれぞれ六角形のネットを組み、交互に重なった層構造をしています。原子同士の結合は層内では強いが、層間では弱いため層間で剥離しやすく、焼結体は切削加工が容易です。これらの性質を利用して坩堝、熱電対保護管、焼結用治具等に利用されています。粉末は高温での使用にも適した白色潤滑離型剤であり、レンズ、ハードディスク製造時の金型離型剤、スプレー缶タイプ耐熱グリス等の潤滑剤、シリコーン放熱シートの充填剤、シャープ色芯(三菱鉛筆製‘-ish’)等に使用されています。

写真は水島合金鉄(株)で特殊なプロセスにより製造した窒化ほう素粉末のTEM(透過電子顕微鏡)像と電子回折図形です。通常の製法の側面が不定形の麟片状粉末とは大きく異なり、隣接側面が30℃で交差する12角柱をなしています。電子回折図形を解析した結果、六方稠密構造の結晶面のうち安定な(100)面とその同類6面および(110)面とその同類6面とが交互に12角形の粉末の外側面を形成していることがわかります。この薄い12角柱の粉末を潤滑剤として使用すると、通常の薄い円柱状の粉末に比べ粒の端部の重なりが少なくなり、薄く均一に分布します。また粒の外面が安定な結晶面であるので溶媒に溶け出すことが少なくなります。この性質を利用してファンデーション等の高級化粧品にも使用されています。

金属、セラミックスなどの性質が結晶の配列あるいは向きに影響されることは多く、材料の性質を明らかにするには、形状、内部構造を高倍率に拡大して観察でき、同時に結晶構造や結晶の向きも調べることができる透過電子顕微鏡(TEM)は強力な武器となります。

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部