均一で緻密な組織に制御された大型MnZnフェライトコア

フェライトはFe2O3を主成分とする磁性酸化物の総称で、金属分野でα鉄を意味するferriteと同じ言葉です。製造方法は、原料粉をプレスで所望の形状に成形し、その後焼成炉で焼結体として焼き固めるセラミックスと同じ手法になります。フェライトは金属系磁性材料に比べて電気抵抗が格段に高く、数kHz以上の高周波域で優れた磁気特性を示します。特に酸化マンガン、酸化亜鉛を加えたMnZnフェライトは各種電子機器で使用されるスイッチング電源用トランス、チョークコイル、ノイズフィルターなどのコアとして用いられています。MnZnフェライトは、写真に示すような天然鉱物スピネルと同じ結晶構造を有し、大きな酸素イオンを介して鉄イオンと他の金属イオンとの超交換相互作用により優れた磁気特性を発揮します。
一般的なスイッチング電源のトランス用コアは、写真に示したER35コアのような形状をしており、小型化・薄型化が進んでいます。これに対し大電力を必要とするスイッチング電源においては、より大型でかつ低損失なトランス用コアが必要となります。しかし、焼結体であるため、形状が大きくなると成形工程や焼成工程で割れや欠陥が発生しやすくなります。また、コア内外での組成や結晶粒径の不均一が顕著になります。小型コアと同じ品質を維持することが極めて難しくなります。今回、川崎製鉄?は「大型MnZnフェライトコア」の開発に取り組み、成形方法、焼成方法を新たに開発しました。写真に示すような電気自動車の車載充電器で使用される大型コアERS180において、中央のSEM写真に示すように小型コアと同じような緻密で均一な粒度分布をもつ焼結体とし、磁気損失を従来に比べ50%以上低減させました。
まず無欠陥成形方法を見いだした後、損失と結晶組織に及ぼす焼成条件の影響を定量的に把握しました。酸化物であるため、焼結反応中に発生する酸素が結晶粒内に大きな空孔を形成し、磁気特性を大幅に劣化させます。結晶粒内から空孔を完全に取り除くことは困難なため、写真に示すように空孔を粒内ではなく結晶粒界に集中させ、かつ粒径を均一にする結晶組織制御方法を確立しました。

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部