微量分析

関連メニュー

レーザーアブレーションICP質量分析 LA-ICP-MS

ページ内メニュー

レーザーアブレーションICP質量分析(LA-ICP-MS)とは

  • LA(Laser Ablationの略)とは、固体試料にレーザー光を照射しそのエネルギーで試料を蒸発・微粒子化するもので、レーザー光の制御により微小域(5μm~)や極表層の試料微粒子化が可能な技術です。また、ICP-MSは、電子温度が約9,000Kに達するプラズマをイオン源とした質量分析装置であり、その最大の特徴は「高感度で定量性が高い」と言うことにあります。例えば、水溶液試料ではppt(絶対量でfg)の検出能力を持ち、電子材料等の定量分析に利用されています。すなわち、LA-ICP-MSとは、レーザーにより試料を微粒子化しながら超高感度なICP-MSで連続的に分析するものであり、今までの分析装置に無いユニークな特徴を持っています。

  • 動画配信中!

    動画配信中!
    ※音声はミュート設定になっております。

LA-ICP-MSの特長

  • 高感度・迅速分析が可能
  • 前処理がほとんど不要で、非破壊に近い分析が可能
  • 溶解困難な固体試料も直接分析が可能
  • 局所的な分析が可能
  • 深さ方向分析・線分析・面分析(元素マッピング分析)
  • 広いダイナミックレンジ
  • 多元素同時分析が可能
レーザーアブレーション装置の写真
レーザーアブレーション装置
NWR213(Elemental Scientific Lasers社製)

LA-ICP-MS装置の構成・仕様

  • 対象元素 Li~U (ガス成分を除く)
    質量範囲 2~260m/z (測定禁止質量14,15N,16,17,18O,19F,20Ne,36,38,40Arを 除く)
    励起方法 2段励起(レーザー/ICP・誘導結合プラスマ発光)
    検出計 四重極型質量分析計 (二系ガスによる多原子イオン低減システム搭載)
    Agilent7900(Agilent社製)
    レーザー波長 213nm(Nd-YAGレーザー)
    平均出力 2.0mJ
    照射径 4~110μm(Circular○)※1μmピッチにて可変
    4~75μm(Square□)※XY任意に1μmピッチ にて可変
    周波数 1~20Hz
    走査モード スポット・ライン・ラスター・グリッド・カーブ
    試料ステージ移動速度 1~2000μm/s

事例

生体試料のイメージング

生体試料中の元素分布を組織レベルから臓器レベルまで調査できます。

バイオミネラル

バイオミネラルとは生体が作り出す無機化合物の総称です。骨、歯、耳石、サンゴ、真珠、貝殻などが挙げられます。これらは温和な条件で生成されることから、環境負荷を低減した材料開発に向けた研究が進められています。

当社のレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析(LA-ICP-MS)技術により、これらバイオミネラルの元素イメージングデータを取得できます。

バイオミネラルの元素イメージング(ヒザラガイ歯舌)  試料提供:岡山大学 根本先生

ヒザラガイは歯舌と呼ばれる歯を持ち、歯冠部に黒色の磁鉄鉱(Fe3O4、マグネタイト)を沈着させています。主成分はFe、Ca、Pであることが知られていますが、LA-ICP-MS法ではこれらに加え微量元素も同時分析することが可能です。

パラフィン包埋した厚さ4μmの切片を用いて元素イメージングを行った結果を示します。歯冠部ではCa、Na、Kのほか、Fe沈着部ではMnやMgも検出され、接合部ではSr、Baが検出されました。

マイクロスコープ観察像写真
マイクロスコープ観察像
LA-ICP-MSイメージング分析結果がz
LA-ICP-MSイメージング分析結果

LA-ICP-MSによる耳石の元素分析

薬物動態解析

薬物動態は、薬物の体内での吸収、分布、代謝、排泄のプロセスを研究する分野です。LA-ICP-MSは、微量金属元素の高感度検出や溶解困難な固体試料の分析に用いられ、薬物の組織内分布や代謝経路の解明に貢献しています。

マウス腎皮質組織の元素マッピング

マウスに投与したプラチナ製剤の腎組織内における存在位置を白金(Pt)の分布状況から推定できます。微量なPtの測定と同時に、高濃度なリン(P)とマグネシウム(Mg)も測定しました。

プラチナ製剤を投与したマウスの腎皮質組織マッピング

メタロミクス

メタロミクス(Metallomics)とは、生命活動における微量金属元素の機能と役割を総合的にに理解する研究領域です。その中でもLA-ICP-MSは、元素の位置情報を取得するための技術として生体内の微量金属元素イメージングにも応用されています。

マウス脳および心臓の実体顕微鏡像および定量マッピング
  • 元素別に検量線を作成し、マッピング測定のイオン強度から含有量換算値を算出します。換算値をマッピング結果に反映することで位置ごとの含有量を推定できます。分析範囲は数百μm角からmm角まで対応いたします。分析元素やご予算に応じてご提案させていただきます。
  • 銅(Cu)、リン(P)、マグネシウム(Mg)のマッピングを行いました。ソフトウエア上で任意の位置をクリックすると推定含有量が表示されます。当社では、生体試料分析用の検量線作成技術を確立し推定含有量の信頼性を高めています。この手法によると、含有率とICP-MSイオン強度には高い相関が得られます。お気軽にご相談ください。
定量マッピング結果
マウス脳および心臓の実体顕微鏡像および定量マッピング結果(脳のCu、Pおよび心臓のCu、Mg)

電池材料の元素イメージング測と測定評価

大気非暴露LA-ICP-MSによる全固体電池の評価

大気非暴露断面加工・測定技術
当社では硫化物系全固体電池解析に対応した設備をご用意しております。大気に暴露することなく、断面加工を行い測定装置にセットできます。

評価事例
全固体電池を2水準(充電状態0、100%)用意し、イオンミリング断面加工後に測定・解析を行った事例を紹介いたします。

全固体電池の分析領域イメージ
分析領域のイメージ
  • 全固体電池の元素イメージング

    • 試料の元素イメージングを行い、主成分・微量問わず、対象元素(同位体含む)がどのように分布しているかを調べることができます。
    • 充電状態100%の試料の結果を図1に示します。イメージングによりLiの挙動が視覚的に評価できます。活物質元素(Ni、Si)など複数の元素を同時に測定 可能です。
    • 集電箔を用いる電池の場合は、集電箔成分の各層への移行の様子もイメージングできます。
    図1
    図1 充電状態100%時のイメージング結果
  • Li同位体を用いたLiイオン拡散現象の評価

    • 電池内部の微小領域でLiの挙動を調査する手法がございます。
      意図的に6Liを濃縮させたLi金属層を作成し、充放電操作後に6Liのマッピング像を取得することで、充放電操作によりLiイオンが固体電解質層や正極層に拡散していく様子が観察できます。極微量の分析によりクラック等へのLi侵入状態や固体電解質(SE)層のLi濃度分布、デンドライドの状態などが評価できます。
    図2 図2
    6Li測定によるLiイオン拡散の評価

全固体電池の試作から物理解析・分析評価まで当社で一環してお引き受けいたします。お気軽にご相談ください。

LA-ICP-MS による局所・深さ方向分析

作業の流れ

このページに関する
お問い合わせはこちらから

JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
0120-643-777

0120-643-777

月~金:9:00~17:30(祝祭日を除く)

?
  • TEL
  • MAIL
  • ご依頼の流れ
  • 質問