解体調査・劣化・不具合調査・構造解析
充放電時におけるIn-situ(その場)解析
充放電によって変化する電極反応による構造・組成変化や電池の劣化機構を解明するためにはIn-situ(その場)分析手法が強力なツールとなります。
充放電時にX線回折(XRD)測定、全個体電池の走査電子顕微鏡(SEM)観察、発熱解析-局所異常部の高感度検出、発生ガス分析、光学顕微鏡観察等をIn-situ(その場)で観察・分析するための手法をとり揃えております。
In-situ XRD解析(X線回折)
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ベリリウム(Be)窓付き専用セルを用いることで、充放電時における電極活物質の構造変化をIn-situ(その場)観察・分析できます。
リチウムイオン二次電池(以下Liイオン電池)では、充放電時にLiイオンが正・負極内に出入りするため、電池反応に伴う構造変化や体積変化をその場で測定で測定でき劣化機構の解明にも役立ちます。
正極材の充放電時のIn-situ測定事例
- LiMn2O4正極の充放電時のIn-situ XRD測定
正極にLiMn2O4、負極に金属Liを用いて、簡易的な電池を作製し、過放電させた状態でin-situ XRD測定した結果を図2に示します。
過放電状態(正極側に過剰にLiイオンが収蔵された状態)において、
LiMn2O4(立方晶)+Li ⇔ Li2Mn2O4(正方晶)
という相転移を伴う構造変化が起こることが確認されました(図3)。
LIB電極のIn-situ発熱解析 -局所異常部の高感度検出-
充放電中のリチウムイオン二次電池(ラミネート型)の発熱状況を、高性能赤外線カメラにより動画でその場(In-situ)測定できます。
短絡箇所などの以上発熱部を高抵抗箇所をロックイン法により高感度(0.001℃の温度分解能)で測定します。
空間分解能10μmまでの領域を判別します。
分析範囲
10μm分解能レンズ | ・・・ | 視野: 約3.2mm x 2.6 mm |
30μm分解能レンズ | ・・・ | 視野: 約9.6mm x 7.8 mm |
200μm以上分解能 (標準27mmレンズ) |
・・・ | 視野: 約6.4mm x 5.1 mm 以上 |
測定イメージと電極微小部の発熱解析例
模擬欠陥電池を用いた欠陥検出例
発生ガス分析
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電池内部で発生するガスは電池の膨れ等劣化の主な要因であり、電池中の電解液や電極自身の酸化あるいは還元による変性・分解によるものです。
本法による電池作動時(充放電或いは過充電)の内部で発生したガスの"その場ガス分析"は、電池特有の内部ガス発生挙動を知り、電池の特性と安全性向上に役立つ有効な分析です。
分析手法
リチウムイオン電池を充放電或いは過充放電し、各ポイントでのガス回収を行い、
- 加熱脱着(Thermal Desorption)ガスクロマトグラフ質量分析(TD-GC-MS)により、微量発生ガス種まで定性分析可能。
- 各ガス種の定量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)、ガスクロマトグラフ(GC)によりppmオーダーまで分析可能。
分析事例(リチウムイオン電池の過充電試験とガス分析)
過充電試験時のセル温度計測結果と到達温度における発生ガス分析結果
In-situ CCD分析(光学顕微鏡)
光学窓付き専用セルを用いることで、リチウム(Li)金属の析出など充放電時の組織変化のIn-situ(その場)観察や、光学分析(フーリエ変換赤外分光(FT-IR)など)が可能となります。
専用セルによる充放電試験とその場観察の例(2極セルの場合)
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- 観察対象とする正極活物質或いは負極活物質をセル内冶具に固定
- 対極をセット
- 電解液注入
- セル組み
- 充放電試験開始
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充放電サイクル末期の金属Li析出の様子
(1μm以下の粒状Liの連続的な成長が観察されます)
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