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No.18「誘導加熱後表面焼入れの解析」

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No.18(2009年01月)
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No.18 金属材料のオンサイト分析(出張分析)-グリーンファクト®️- 他

誘導加熱後表面焼入れの解析

焼入れ変形の問題

回転する機械部品の耐摺動摩耗性を向上させる目的として高周波誘導加熱後表面焼入れが行われています。近年、製造部品の寸法精度確保のために、熱処理における応力予測および変形予測する手段として有限要素法解析ソフトを使用した数値シミュレーションが行われています。

数値シミュレーションの方法

汎用有限要素法解析ソフトANSYSを用いると誘導加熱と焼入れの温度計算および応力変形計算を行うことができます。

(1)誘導加熱時の伝熱解析

鋼材は加熱や冷却において相変態(温度300℃~750℃の範囲)を起こして電磁気特性や伝熱特性が大きく変化します。単なる温度依存性だけでなく、相変態温度が加熱と冷却では異なることを考慮した解析が必要となります。

(2)応力変形解析

鋼材では加熱と冷却では、熱膨張特性に大きな違いが生じる場合(急速冷却時)があります。急速冷却である焼入れにおける応力変形解析では相変態の考慮は重要となります。

数値シミュレーションの適用事例

図1は軸対称形状のシャフトを誘導加熱焼入れした時の残留応力解析結果を示しています。
(b)相変態の冷却速度依存を考慮した結果は、(a)変態温度不変の結果と異なり、表面は圧縮応力となっています(実測結果と一致します)。
図2にエンジンのクランクシャフト(下側の太い方のシャフト)を誘導加熱表面焼入れした時の解析結果(残留軸方向応力)を示します。解析モデルは、クランクシャフト全長の一部であり、円周方向1/2部分としています。残留応力は、中央の回転軸表面に-1500~-500MPaの残留応力(圧縮)が発生していることがわかります。図1の軸対称モデルの残留応力解析結果とも一致する圧縮応力状態です。
当社では誘導加熱以外に一般的な熱処理、溶接、鋳造において相変態を考慮した高精度の伝熱、応力解析を行うことが可能です。

図1 軸対称形状シャフトの誘導加熱焼入れ時の残留応力(軸方向応力Pa)
図1 軸対称形状シャフトの誘導加熱焼入れ時の残留応力(軸方向応力Pa)
図2 クランクシャフトの誘導加熱表面焼入れ時の残留応力(軸方向応力Pa)
図2 クランクシャフトの誘導加熱表面焼入れ時の残留応力(軸方向応力Pa)

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