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No.34「電池材料の物理解析技術(3)」

JFE-TEC News No.34号 クライオ機能を活用した電子顕微鏡観察用の試料作製技術 他 記事一覧

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No.34(2013年01月)
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No.34 クライオ機能を活用した電子顕微鏡観察用の試料作製技術 他

電池材料の物理解析技術(3)~rf-GDSによる電極材料の深さ方向分析~

リチウムイオン二次電池の電極において、電極反応面から集電面への電荷移動を担うLiや、電解液等に含まれるFの分布状態を評価することは、電池特性の解析に重要です。

rf-GDS による電極中のLi、F 分布の測定

高周波グロー放電発光分光分析法(rf-GDS)は、イオンスパッタリングしながら試料成分の発光スペクトルを測定することにより、高感度な深さ方向分析を可能とした手法です。電極の断面評価に良く用いられるSEM/EDX法ではLiの検出は困難ですが、rf-GDS法によればLiを感度良く測定できるため電極表層のLi分布測定に適した手法と言えます。当社では、この技術に加え、NeガススパッタリングによるFの分布測定技術、およびトランスファーべッセルを用いたAr雰囲気中での試料ハンドリング技術を開発しており、rf-GDSによる正・負極の分析を高精度で行える状態を整えております。

図1 リチウムイオン二次電池正極材のrf-GDS分析例 (コバルト酸リチウム塗布/Al箔) 分析領域:4mmφ
図1 リチウムイオン二次電池正極材のrf-GDS分析例
(コバルト酸リチウム塗布/Al箔) 分析領域:4mmφ

充電状態の異なる正極の分析例

図1に充電状態の異なるコバルト酸リチウム正極の分析結果を示します。横軸のスパッタ時間は電極反応面からの深さに相当する指標であり、縦軸の発光強度は元素の含有率に相当する指標です。

充電前の正極(a)ではCoとLiの存在比率が表層から内部まで一定であるのに対して、50%充電後の正極(b)ではCoに対するLiの存在比率が低下するとともに、電極表面にLiの少ない層が形成されていることがわかります。さらに充電率を100%に上げた(c)では、Liの少ない層が電極表層により広く生成している状態が確認できます。また、充電後には、電極反応面にFが濃化していることが確認され、Fを含む合成物の生成が示唆されます。

このように、電極中のLiやFの分布測定は、充放電に伴う含有成分の化学反応を解析する上で非常に有益です。ご興味がある場合は、是非お気軽にお問い合わせください。

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