JFE-TEC News
No.41「微量物質の高感度計測・観察技術(3)」
JFE-TEC News No.41号 薄膜旋回型高速ミキサーを使った連続処理システムの導入 他 記事一覧
微量物質の高感度計測・観察技術(3)
No.41 薄膜旋回型高速ミキサーを使った連続処理システムの導入 他
微量物質の高感度計測・観察技術(3)~レーザ分光技術を利用した微量物質の検出~
Detection of Small Amount of Materials Using Laser Spectroscopy
医療、バイオ、薬品、化学など様々な分野において、分子レベルでの非染色、非侵襲「その場観察」技術の必要性が高まってきています。例えば、医療診断分野での病巣検出、化学、薬品分野における成分分析や薬剤効果の把握、バイオイメージング分野における生体組織の構造変化観察などが挙げられます。従来、このような分子レベルでの高感度観測法としては、蛍光色素を利用した蛍光イメージング法が広く用いられてきました。しかし、この手法では観察対象物自身を蛍光物質で予め染色する必要があるため、対象物を変化させてしまうことが問題となっており、対象物を非破壊、非接触の条件で測定する手法が求められています。
この要望に対して、非常に有効な手法として、レーザを使ったラマン分光法の一つであるCARS(コヒーレント・アンチ・ストークスラマン散乱)分光法があります。
CARS法は、波長(周波数)の異なる二つの光を同時に試料に照射し、周波数の差を分子固有の振動・回転周波数に一致させることにより、観測対象試料の成分分子からの共鳴散乱光を検出する手法です。観察対象物表面に存在する微量成分分子固有の特性を鋭敏に反映したスペクトルが得られるため、成分分析や各成分量のマッピングを行うことが可能です。また、観察の妨げとなる対象物からの自家蛍光の影響を避け、一般的に微弱なラマン信号を増幅して検出することができるということもこの手法の特長です。検出可能な物質は非常に多岐に亘り、レーザや検出器の技術進歩にも支えられて、様々な分野での利用が進むものと期待されています。
当社では、鑑識分野での指紋検出への応用を試みています。CARS分光システムの外観を写真に示します。
写真 CARS分光システムの外観
顕微鏡との組合せによる観察システムの構築、実験系への組込みなど、ご希望の観察条件に応じて、最適な実験系やシステムをご提案いたしますので、ご興味があれば遠慮なくご相談下さい。
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