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No.46「高分解能ガスクロマトグラフ質量分析法によるPCB短納期分析」
JFE-TEC News No.46号 高分解能ガスクロマトグラフ質量分析法によるPCB短納期分析 他 記事一覧
高分解能ガスクロマトグラフ質量分析法によるPCB短納期分析
No.46 高分解能ガスクロマトグラフ質量分析法によるPCB短納期分析 他
高分解能ガスクロマトグラフ質量分析法によるPCB短納期分析
Rapid Determination of Trace PCBs by Gas Chromatograph High-resolution Mass Spectrometry (GC-HRMS)
はじめに
PCB廃棄物には、トランスなどに使用された絶縁油やPCB廃棄物の保管・処理施設から排出される2次汚染物があり、平成24年のPCB特別措置法施行令の改正により、平成39年3月末までに処理することが義務づけられました。また、PCB廃棄物は、一般廃棄物、低濃度PCB汚染物、高濃度PCB汚染物の3種類に分類され、その濃度に応じた処理が行われます。そのため、濃度が判明するまで保管することになり、保管期限や保管場所の制限などから迅速な定量分析が求められています。
当社のPCB分析の特徴
絶縁油はもとより、固体汚染物に指定されている紙くず、汚泥、廃塗料、感圧紙など、全ての試料を対象に高分解能GC-MS(GC-HRMS)を用いた迅速分析法を実用化しました(写真1、2)。
絶縁油中のPCB分析には、一般的にGC-ECD法が使用されていますが、ECD法は試料中の有機物による妨害に弱く、測定前の試料精製に長時間を要します。また、PCBに類似したPCNs(ポリ塩化ナフタレン)などが共存すると、精製が困難になります。それに対して、高分解能GC-MSは質量分離能が高く物質の選択性に優れていることから、高度な精製を必要としません。当社ではこの利点に着目し、硫酸シリカゲルなどを用いた簡便な精製法を実用化することで、PCB分析時間の大幅な短縮を可能としました。また、当社独自の採油キット(採取ビン、スポイト、安全保護具など;写真3)を提供することで試料の受入や調整作業を画一化し、最短納期を翌営業日とする迅速分析体制を構築しています。
写真1 高分解能ガスクロマトグラフ質量分析装置
写真2 PCB分析前処理設備
写真3 絶縁油の採油キット
おわりに
当社では、絶縁油のPCB分析技術をベースに様々なPCB迅速分析サービスをご提供しています。化成品の製造過程で非意図的に生成するPCBの定量や、PCB処理施設等での作業環境測定、橋梁等の塗膜中に可塑剤として添加されたPCBの定量分析など、いずれも高分解能GC-MS測定をベースとした、信頼性の高い迅速分析サービスです。お気軽にご相談ください。
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