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No.47「微細構造を明らかにする物理解析(17)」

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No.47(2016年04月)
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No.47 リチウムイオン二次電池の分析・評価技術(4) 他

微細構造を明らかにする物理解析(17)~高分解能FE-EPMAを用いたSnめっき材の相解析~
Phase analysis of the Sn-plated Material Using a High Resolution FE-EPMA

はじめに

近年、自動車の電子化が進み、車載用電子部品数は多くなっています。特にエンジンルームなどの高温環境下で使用される配線やコネクタは、屋内とは異なり厳しい環境においても材料特性が変化しないことを要求されます。高温下で金属の拡散による合金化が発生した場合、その合金の成分によっては、材料特性が変化するため、合金相の特定やその分布を調べることが重要です。今回、配線に使用されるフラットケーブル(銅(Cu)/すず(Sn)めっき処理)を、電界放出型電子線マイクロアナライザー(FE-EPMA)を用いて解析した事例をご紹介いたします。

FE-EPMAによるSnめっき材の相解析

FE-EPMAは高空間分解能・高エネルギー分解能を生かし、元素分布測定に利用されます。厚さ1μm以下のSnめっき部位でも各元素分布を確認することができます(図1)。

当社では、マッピングより得られたSnとCuの全強度データから作成した相関図(図2)において、CITZAF*で計算される相関点とその範囲を決定することにより、それぞれの相を精密に同定することができます。相解析マップ(図3)から、Cu3Sn相、Cu6Sn5相はそれぞれ数100nmの厚さで生成し、特にCu3Sn相は、一部表面まで到達しています。さらに金属Snがわずかに存在していることもわかりました。この様にマッピングと理論強度で、通常の定量点分析では困難な相の同定とその分布を同時に評価することができます。

図1 Snめっき材のEPMA 元素マッピング
図1 Snめっき材のEPMA 元素マッピング

図2 SnとCuの強度相関図
図2 SnとCuの強度相関図
図3 強度マッピングと理論強度より得られた相解析マップ
図3 強度マッピングと理論強度より得られた相解析マップ

おわりに

当社では、ここに紹介した事例以外にも、鉄/アルミの接合界面、合金化溶融亜鉛めっき、ニッケルめっき/ Snはんだ界面の金属間化合物など様々な相分離型合金の相解析に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

*CITZAFとは、各種合金組成における各元素の理論強度を求めるZAF定量法の一種。

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