耐原子の世界を探る -400kV電子顕微鏡によるシリコン結晶の格子像

高純度シリコン単結晶を薄く切断して表面を高度に仕上げたものはシリコンウェハー(基板)と呼ばれ、半導体の原料として使われる。ICやLSIはこれにイオン注入やエッチングを施して回路を構成したものである。このシリコンウェハーは、SiOX等の析出物が存在すると、原子の配列を乱して電子的特性を劣化させるので、厳密に制御されなければならないが、このためにはここに示すような高分解能像による原子レベルでの状態分解が不可欠になる。

上の写真は、シリコンウェハー((100)格子面)を1100℃以上で20時間以上過熱した際に生成した八面体析出物のところから100nm(百万分の一ミリ)の薄片試料((100面)に平行)を作成し、400kV高分解能電子顕微鏡を用いて一千万倍に拡大した、切断面に垂直な透過電子像である。
この倍率では、シリコン結晶の(111)格子面間隔が3mm程度に拡大されて観察されている。同じ撮影条件でも、もし試料厚みが10nm以下の場合には、個々の原子が3mm程度の球状のものとして観察されるであろう。

また析出物とSiマトリックスとの境界面が、Si結晶の(111)面であり、写真上でその二つの境界面が、Si結晶の(110)断面上で交叉角109.5゜で交叉している様子が明確に撮影されている。さらに、析出物とSiマトリックスの境界面がわずか2 3原子以下のぶれを持った急峻な界面であることも見てとることができる。

一方、析出物についても高分解能電子顕微鏡を用いると、従来のFT-IR(フーリエ変換赤外分光)と異なり、微小領域の分析ができる。上の析出物についても細い電子線束(5nm)による極微回析によりアモルファス(非晶質)であることが、またEDX(エネルギー分散型X線)分析によりSiの酸化物であることがわかった。

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