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No.05「光で量る(4)」

JFE-TEC News No.05号 レーザICP質量分析法(LA-ICP-MS)による局所・表面分析 他 記事一覧

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No.05(2005年10月)
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No.05 レーザICP質量分析法(LA-ICP-MS)による局所・表面分析 他

光で量る(4)~赤外線吸収分光分析技術~

有機化合物の分析に主として使用される分光分析に赤外線吸収スペクトル法(Infraredabsorption spectroscopy, IR)があります。IR分析はその測定法が簡便なこともあり、有機分析において広く利用されています。

IRの原理

その原理は簡単に述べますと、分子は化学結合をした原子から作られていますが、この分子は、ばねと玉から作られた系に似た運動をしています。すなわち、絶えず伸びたり縮んだり(伸縮振動)あるいは角度が曲がったり(変角振動)していて、この振動は分子固有の振動です。その分子に波長を変化させた赤外線を連続的に照射していくと、分子固有の振動エネルギーに対応した赤外線が吸収され、分子の構造に応じた特有のスペクトルが得られます。IRスペクトルから分子構造などを解析する方法を、赤外線吸収スペクトル法といいます。現在は、フーリエ変換法を用いたFT-IRの普及により、微量、微小といった試料についても顕微FT-IR(写真)で測定が可能となっています。

写真 顕微FT-IR装置
写真 顕微FT-IR装置

IRでわかること

IRスペクトルでわかることは、有機物の化学構造の特徴です。また、試料物質があらかじめ予想できる場合には、既知のスペクトルデータと比較することにより同定や確認ができます。したがって、樹脂、潤滑油、ゴムや異物の同定に威力を発揮します。
たとえば、フィルムや包装材として使われるポリプロピレン(PP)やペットボトルに使われるポリエチレンテレフタレート(PET)のIRスペクトルの例を図に示しますが、両者のスペクトルは明らかに異なっており、化学構造が異なっていることが分かります。さらに、構造不明の樹脂があった場合、そのスペクトルが、ここに示したものと一致していれば、PETあるいはPPということができます。
なお、試料が未知物質の場合はIRを測定しただけでは物質を特定できない場合もあり、核磁気共鳴吸収分析(NMR)や質量分析との併用も必要となります。

図 PET(上)とPP(下)のFT-IRスペクトル
図 PET(上)とPP(下)のFT-IRスペクトル

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