No.60「LA-ICP-MSを用いた生体試料のPtイメージング分析」

No.60 医薬分析特集号
LA-ICP-MSを用いた生体試料のPtイメージング分析
Imaging of Pt in Biological Samples using LA-ICP-MS

なぜいまこれが?

抗がん剤の一つにDNA複製阻害や、がん細胞の自滅を誘導する効果が期待される白金(Pt)製剤があります。効果的で副作用の少ない抗がん剤の開発には、生体組織中での製剤の分布を把握することが重要です。「レーザによる局所分析」と「ICP-MSの高感度検出」を併せ持つレーザアブレーション(LA)-ICP-MSを生体試料に適用することで、生体組織中の微量Pt分布を捉え、白金製剤の分布を把握することが可能となりました。

これがポイント!

図1 シスプラチンを投与したマウス腎臓薄片試料のLA-ICP-MS分析結果
図1 シスプラチンを投与したマウス腎臓薄片試料のLA-ICP-MS分析結果
(左:CCD画像、右:Ptイメージング像)

生体組織中の明瞭な微量元素分布(元素イメージング)を得るためには、適切な試験片作製と測定条件(レーザ出力・周波数・照射径、質量分析条件等)の適正化が不可欠です。当社では生体試料の分析に適したマイルドな測定条件を確立し、明瞭な微量元素イメージング像を取得することに成功しました。図1に代表的な白金製剤であるシスプラチンを投与したマウス腎臓薄片試料のLA-ICP-MS分析結果を示します。
腎髄質側に比べ、腎皮質側に明らかなPtの集積が認められ、Ptの分布状況を視覚的に判断できます。シスプラチンは副作用として腎毒性を示すことが知られており、本結果は薬理作用との関連性について重要な知見となることを示唆しています。LA-ICP-MSは、前処理(蒸着)不要で、大気圧下で分析することができ、レーザを最小φ4μmまで絞り込むことで局所分析が可能です。また、電子線マイクロアナライザ(EPMA)、走査型電子顕微鏡(SEM)では困難とされる1μg/g程度の微量元素の検出が可能です。当社では、生体試料以外にも各種材料におけるLA-ICP-MS技術の適用実績も豊富にございますので、お気軽にご相談ください。

謝辞

試料提供及びご指導いただいた新潟大学大学院医歯学総合研究科 斎藤亮彦特任教授、後藤佐和子特任助教に感謝申し上げます。

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