27年経過した耐候性鋼の安定さび層断面の  EPMAによる元素分布調査

耐候性鋼は、Cr,Cu,P等の大気腐食を抑制する元素を含有する低合金鋼、日本においては1960年代に実用化された。耐候性鋼では、鋼の表面に緻密で強固なさびが大気腐食で生成し、そのさびが更なる腐食の進行を抑制するという機構により耐食性が向上する。したがって、長期間にわたって実環境下で形成されたさび層の解析は、材料の改良や使用条件の限定等に極めて貴重なデータを提供するものとなる。

このほど、川崎製鉄株式会社知多製造所にある架設後27年経過した「知多2号橋」から試料が採取され、解析結果が報告された。

上記はEPMA(電子線プローブ微量分析法)で元素の分布状態を調査した結果である。元素濃度は赤→橙→黄→緑→青の順に希薄になる。Feの分布で明らかなように、画面の下部が下地であり、その上のさび層は2層に分かれている。ラマン分光法によって内層はα-FeOOH、外層はv-FeOOHが主であることが確かめられた。2次電子像で最外層の白い部分は断面試料作成時にさび層が剥離するのを防止するために施したCoめっきである。

さび内層のCrによって一部置換されたα-FeOOHが耐食性向上の主な要因であることがこれまでに知られているが、この報告では、元素分布で明らかなようにCuが割れ近傍に著しく濃化していることがあらたに見出され、その耐食性への寄与が論じられた。

谷本ら:CAMP-ISIJ, Vol.8 (1995),614

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