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No.02「光で量る(1)」

JFE-TEC News No.02号 オイル流出事故を撮らえた航空機搭載型ハイパースペクトルセンサー 他 記事一覧

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No.02(2005年01月)
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No.02 オイル流出事故を撮らえた航空機搭載型ハイパースペクトルセンサー 他

光で量る(1)~可視光の利用~

光は種々のエネルギーを有し、それは波長によって整理することができます。そして多くの分析に利用されています。本トピックスでは各波長(エネルギー)毎(すなわち赤外線領域、可視・紫外領域、X線領域)の分析事例を4回に分けて掲載します。第1回は可視領域(波長360~830nm、エネルギーとしては1eVレベル)の光を用いた分析方法についてです。

この領域の光を用いた分析手法として吸収、蛍光および発光現象が利用されています。これらは主として分子(またはイオン)に光が照射されると特定波長の光が吸収される、または吸収された光エネルギーにより分子が励起され緩和過程で蛍光または発光として異なる波長の光を発する現象を利用し、その光の強度変化を測定することで物質を量る(定量する)ことができるのです。最も多く利用されているのが吸光現象で、これを吸光光度分析と呼んでいます。

金属イオンの吸光光度分析は、測定するイオンを含む溶液のpHなどを調整した後、この溶液に反応物質(多くの場合、金属イオンと反応し錯体を生成する水溶性有機物質)を添加し、その結果生成した化合物に特定の光を照射して光の吸収率から金属イオン濃度を算出します。この方法は目的元素以外のイオンにも反応してしまう場合があるのでそれらの対策も重要な課題です。この方法を自動化し、それを土壌改良現場などで『その場』で利用していただくための装置を開発しました。

例を写真に示します。これは鉛イオンを測定するために組み立てられた測定装置で、上に示した手順を全自動で行うことが可能です。装置はポンプとテフロンチューブおよび検出器から成り立っており、各チューブには種々の試薬が流れています。これに分析試料溶液を注入すると自動的に鉛イオンが分析できます。左側が鉛イオンのみを検出するために設けられた他金属イオンとの分離装置(イオン半径の違いを認識する分離機構を採用)、右側が吸光度を測定する部分です。装置をコンパクト(250×250×350mm、重量8kg)に設計することで持ち運び可能で、現場での測定に用いることができます。

写真 鉛自動分析計
写真 鉛自動分析計

図は土壌中の鉛含有量を本装置で計測し、従来法と比較した結果です。比較的良好な相関が得られることがわかります。分析時間は1検体当たり8分(従来法では1日)です。

鉛イオン(波長520nm)のほか、カドミウム(480nm)、シアン(520nm)、砒素(820nm)、6価クロム(540nm)、ふっ素(540nm)などの分析も同様な装置で分析可能です。

図 自動分析計の精度の一例
図 自動分析計の精度の一例

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