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No.04「材料の目で設備を診る(1)」
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材料の目で設備を診る(1)
No.04 顔のシンメトリ 他
材料の目で設備を診る(1)~高温設備の余寿命診断~
いくら良くできた家でも長年住んでいるとあちらこちらが傷んできます。これと同じで、工場の設備や公共の建造物も使用期間が長くなれば老朽化が進みます。使用条件によっては、設備を構成している材料自体にも目に見えないダメージが蓄積してきます。それが顕在化するときは、設備故障か破損という事態なので、そうなる前に材料のダメージを診断して必要な対策をとるのが賢明です。
ここでは、材料の目で設備の状態を診断する例として、高温設備の材料のダメージを評価する方法を紹介しましょう。
高温設備の材料のダメージ
金属材料は、高温で長時間使用していると、きわめてゆっくりと変形が進行して、ついには破壊に至るという性質を持っています。このような現象をクリープと呼びます。発電所のボイラーやタービンのような高温設備では、20~30年の使用の間には材料の内部でクリープが進行します。
ダメージを受けた所を顕微鏡で観る
定期修理工事などの設備停止時に、損傷を受けていると思われる部材の表面を研磨し、エッチング液を掛けると、その部分の金属組織が現れます。これをレプリカ膜に写しとって顕微鏡で観察します。クリープの進行によって金属組織も少しずつ変化し、また、ミクロボイドという小さな空隙が出てくるので、これらを観察することによって損傷の程度を見分けることができます。図1に示すように、クリープ損傷が進行するほどミクロボイドの発生割合が増加することがわかっていますので、たくさんの視野を観察してミクロボイドの発生割合を定量的に評価すれば、その部分のクリープ損傷度合いを評価することができ、さらには、余寿命を推定することができます。図2はミクロボイドが発生しているところを拡大し、高さ方向を強調した写真で、山脈のように見えるのがミクロボイドです。
ほかにもいろいろな方法がありますが、またの機会に。次号では、腐食によるダメージの話をしましょう。
図1 ミクロボイドの発生割合とクリープ寿命消費率の関係(クロムモリブデン鋼の例)
図2 ミクロボイドが発生したクリープ損傷材の金属組織写真
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