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No.05「材料の目で設備を診る(2)」
JFE-TEC News No.05号 レーザICP質量分析法(LA-ICP-MS)による局所・表面分析 他 記事一覧
材料の目で設備を診る(2)
No.05 レーザICP質量分析法(LA-ICP-MS)による局所・表面分析 他
材料の目で設備を診る(2)~耐候性鋼橋梁の腐食診断~
耐候性鋼橋梁のライフサイクルコスト
耐候性鋼材を用いる無塗装橋梁は、1998年頃から着工件数が増加しはじめ、現在全鋼製橋梁の約15%を占めるに至っています。耐候性鋼橋梁の増加理由は、社会一般にLCC(ライフサイクルコスト)の考え方が浸透したためと言われています。例えば、供用期間を100年と仮定しますと、耐候性鋼橋梁のLCCは、塗装橋梁の3~25%に過ぎません。
腐食診断の特徴
耐候性鋼は、適切な環境で使用されると、腐食速度が十分小さいため(100年間で0.5mm以内)、長期にわたり、橋梁部材の耐荷力を確保できる材料です。耐候性鋼の優れた耐食性は、さびの保護性に由来します。そのため、耐候性鋼橋梁の腐食診断は、さび性状を解析する調査項目を含むことに特徴があります。
インフラ腐食診断の第一歩は、劣化状態の目視観察です。耐候性鋼橋梁は、特に目視観察を重要視し、外観見本に基づいて評点を付けます。どれほど鮮明な写真見本があっても、耐候性鋼外観からランキング付けを行う作業は、難しいものです。とりわけ、さび剥落の原因となるこぶ状や層状のさびを見つけ、橋の構造・雨水の流れ・地形・気象などを参考にして、成長性か否かを判定する作業は、専門的な訓練を必要とします。このため、鉄鋼や橋梁の関係団体は、実橋見学会を繰り返して開催し、評価の平準化に努めています。
腐食速度の測定が重要
目視観察の他にも、耐候性鋼の腐食診断方法は、数多く実施されています。表は、主に現地で行う計測項目を示します。中には、フェロキシルテストのように実施される機会の減少した項目、その一方、さび厚み測定のように実施頻度の増大している項目があります。測定項目の変化は、ミニマムメンテナンス橋梁の実現に向け、さび性状の定性的判定に代わり、腐食速度を示す定量的測定を重視する傾向を反映しているようです。
JFE-TECは、耐候性鋼橋梁の腐食診断に多くの実績があります。
表 耐候性鋼橋梁の腐食診断評価項目
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