JFE-TEC News
No.06「接合技術の最近のトピックス(1)」
JFE-TEC News No.06号 ナノオーダーの元素分析を実現した極低加速SEM-EDS 他 記事一覧
接合技術の最近のトピックス(1)
No.06 ナノオーダーの元素分析を実現した極低加速SEM-EDS 他
接合技術の最近のトピックス(1)~摩擦撹拌接合~
溶接の原理
溶接の原理は極めて単純で、金属の原子と原子との距離を0.1ナノメートル程度まで近づけると金属結合力が生じることにあります。
通常、金属表面には、凹凸、サビ、汚れ等があって、両原子を極限までにはとても近づけることはできません。それでは、近づけるようにするにはどうしたら良いでしょうか。汚れを除き、温度を上げ柔らかくすればどうでしょう。さらに両者を押しつければ…。溶かしてもっと柔らかくすれば…。溶接は、これらの原理を利用している技術なのです。アーク熱により、溶かして接合するアーク溶接は、この原理に沿った実用的な接合技術として、代表的なものです。しかしながら、アーク溶接は“溶かして接合”するため、ときには「脆弱な合金生成」や一度溶けたものが再凝固する「鋳込み組織の弱点」をもっています。
溶かさない接合-摩擦撹拌接合(FSW)
“溶かさない接合”が可能という点で、最近、摩擦撹拌接合(FSW:Friction Stir Welding)が、注目されています。FSWは、図に示したように、耐熱性の回転ツールを材料に接触させながら高速回転させ、材料との摩擦熱を利用して接合する方法です。接合部材である金属を、溶ける寸前まで温度を上昇、軟化させ、撹拌することにより接合させるという仕組みで、溶接材料不要という特徴も併せもっています。写真にアルミニウム合金の接合例を示しました。
FSWは、現在目覚しく発展中で、既に自動車や新幹線車両など、種々の分野でも応用実用化が進みつつあります。また、“溶かして接合”する問題を回避できることから、今後は、今まで不可能とされた鉄とアルミなどの異種金属やマグネシウムなどの低融点金属の接合も、その多くが可能となるときが来るかも知れません。
図 摩擦撹拌接合と回転ツール
写真 アルミニウム合金のFSW接合例
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