No.07「見えない光で観る(2)」

No.07
見えない光で観る(2)~インクを観る~

黒のボールペンやサインペンを使って文字を書くときに、ペンにはどのようなインクが使われているか気にして使う人は少ないと思います。今回は、サインペンで書かれた文字をイメージング分光器で観てみます。

人の目に見える波長で観る印刷物

図1は、印刷物の一部を油性のサインペンで塗りつぶし、通常のデジタルカメラで撮影した画像です。A、B、C、Dそれぞれ異なるメーカーのサインペンを使用しています(文字も同じペンを使って書かれています)。デジタルカメラの画像は分光的には可視光領域の画像が得られます。図2は可視光域から短波長近赤外域に感度のあるイメージング分光器を用いて測定し、可視光の波長域から色彩計算されたカラー画像です。可視光域から計算される色彩画像は図1の画像とほとんど変わりません。

図1 デジタルカメラ画像 図2 イメージング分光RGB画像 図3 800nm特定波長画像
図1 デジタルカメラ画像 図2 イメージング分光RGB画像 図3 800nm特定波長画像

使われているインクのスペクトル

図4図2のA、B、C、Dの塗りつぶした点の分光反射率です。図4から680nm以下の可視光領域ではA、B、C、Dにあまり差がないにもかかわらず、700nm以上で分光反射率が大きく違っているのがわかります。

図4 塗りつぶし部の分光反射率
図4 塗りつぶし部の分光反射率

人の目に見えない波長で観る印刷物

図3は分光画像から、800nmの波長だけを抽出した特定波長画像です。800nmの波長では、A、Cの部分は黒いままですが、B、Dは消えて透けてしまいます。塗りつぶしたつもりが、この波長では塗りつぶしたことにならない結果になります。目視では一見同じ黒に見えていても、メーカーによって使われているインクが異なるので、このような違いがでてきます。イメージング分光器では、測定された2次元の分光画像から、波長をスキャンしながら画像を観ることで、特徴のある波長を容易に抽出し、可視化することができます。
 このような2次元分光技術は、文化財などの古美術に用いられた顔料の同定や、隠れた文字の復元などの応用に使われています。

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