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No.09「画像分光望遠鏡(ALIS)で月面を観測」
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画像分光望遠鏡(ALIS)で月面を観測
No.09 画像分光望遠鏡(ALIS)で月面を観測 他
画像分光望遠鏡(ALIS)で月面を観測
このたび大阪大学の佐伯和人助教授の研究グループと共同で画像分光望遠鏡ALIS(Advanced Lunar Imaging Spectrometer)を開発しました。ALISには当社のイメージング分光技術が活用されています。現在、このALISを使用して、地球・惑星観測衛星に搭載された光学センサの分光感度較正を行えるシステムの構築を最終目標とする研究が行われています。
宇宙空間において光学センサの感度は、放射線による劣化などで数%~数十%低下すると言われています。このため、現在は地球上の分光輝度が既知の場所の測定や、衛星搭載の標準光源などで補正・較正が行われています。しかし、地球上の場所の利用は大気の影響を受け、衛星搭載光源も経時変化がある上、衛星打ち上げ時の重量的負荷が大きくなるという問題があります。
本研究では、光学センサの分光感度較正に、太陽を標準光源、月を標準被写体として使えるシステムを構築することにより、この問題の解決を図ろうとしています。具体的には、太陽と月と衛星の位置関係によって変化する月面の各点の分光輝度を正確に計算するために、ALISを用いて現在建設中の国際宇宙ステーションから可視・近赤外光における月面の分光放射輝度を長期間連続測定し、月の測光モデルを構築することを計画しています。
今回開発したALISは、地上から月面の数十万箇所の分光放射輝度を色々な条件下で測定するために作製されたもので、分光波長範囲は400~1700nm、250,000点を30分程度で測定できます。
図1は、昨年の8月にハワイのマウイ島ハレアカラ山頂(標高3055m)で月面を観測して得られた250,000箇所のスペクトルデータをもとにカラー合成した月面画像です。
現在、研究は地上で行われている段階ですが、これまでに得られたデータは2007年度に打上げが予定されている日本の月探査機セレーネの実験計画に活用されています。
ALISが宇宙ステーションに搭載される日が一日も早く来ることを期待しています。
図1 観測データから合成した月面画像(左)と図2 「チコ」クレーター付近のスペクトル(右)
写真1 マウイ島ハレアカラ山頂(標高3055m)
写真2 画像分光望遠鏡ALIS
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