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No.10「3次元SEMによる表面形状と元素分布の高精度観察」
JFE-TEC News No.10号 3次元SEMによる表面形状と元素分布の高精度観察 他 記事一覧
3次元SEMによる表面形状と元素分布の高精度観察
No.10 3次元SEMによる表面形状と元素分布の高精度観察 他
3次元SEMによる表面形状と元素分布の高精度観察
はじめに
表面処理鋼鈑の摺動性、耐食性、電気特性などは、表面の3次元的凹凸形態(以下、表面テクスチャー)と表面処理元素の分布等により変化します。表面テクスチャーは触針式や光学式の粗さ計などにより定量的に測定できます。一方、元素分布は、微小部の形状観察および分析ができるSEM -EDX(走査電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分光器)やEPMA(電子線マイクロアナライザー)など別の装置が必要となります。同じ場所の表面テクスチャーと元素分布とを合わせて測定しようとすると多大な時間を要し、現実的ではありませんでした。
3次元SEMとは
この様な問題を解決したのが、元素分布測定可能で、2次元の空間分解能が2nmのSEM-EDXに表面テクスチャー測定機能を組み合わせた3次元走査電子顕微鏡(3D-SEM)です。試料を中心として前後左右に配置した4個の検出器を用い、測定した試料表面からの2次電子強度を検出して3次元粗さに変換することで、1nmの高低差を測定できます。
試料を観察しながら、これら二つの測定を行えますので、nm程度の精度で同一位置の表面テクスチャーと元素分布の関係が明らかとなります。
応用事例と今後
図1に示した錫めっき鋼鈑表面のSEM像に、白い部分(例えば黒の矢印)と灰色の部分(赤の矢印)が見られます。同じ場所の表面テクスチャーを表面形状俯瞰図で図2に示し、元素分布を図3に示します。SEM像の白い部分はSn(錫)の多い凸部で、8μm程度離れた灰色部分はFe(鉄)が多く凹部であること、さらに、その高低差は1.5μm程度であることが分かります。
ますますナノレベルでの表面形状制御が必要となってきている薄膜・表面処理材料、微細加工など、様々な材料分野における高機能化・生産性向上に対応した研究・開発、生産におけるトラブルシューティングなどのニーズにお応えできるものと考えています。
図1 SEM後
図2 表面形状俯瞰図
図3 元素分布図
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