No.10「電子で量る(1)」

No.10
電子で量る(1)~新しいSEM表面観察技術~

高速の電子あるいはX線などの電磁波が固体物質に照射されると、多様な相互作用が生じ、二次的な電子および電磁波が放出されます。「電子で量る」とは、分析試料が発する電子信号(強度、エネルギー、方向など)を測定することにより、組織観察、元素の定性、定量、化学状態を分析する技術のことです。本シリーズでは4回に分けて電子線を測定する代表的な分析技術について、応用例とともに紹介します。

極低加速電圧走査電子顕微鏡

走査電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)は、通常5~30kVに加速した一次電子線を試料表面で走査させ、試料を構成する各元素から放出される二次電子や反射電子の信号強度から像を得る観察装置です。試料の導電性が低いと、試料表面が帯電し鮮明なSEM像が得られなくなります。これを防ぐため、一般的には蒸着処理を行いますが、試料表面は蒸着源の粒子(カーボン、金、白金パラジウムなど)に覆われているため、真の表面観察は不可能でした。
 最新の極低加速電圧SEMでは、試料に合わせて加速電圧を低く制御することにより、一次電子数と放出される二次電子数がバランスし、導電性の低い試料であっても蒸着なしで帯電やダメージのない真の姿が観察できます。さらに加速電圧を100V まで低くすると、一次電子線の侵入深さは数nmまで浅くなるので、極表面数原子層のみの構造情報を得ることもできます。無機材料の極表面観察をはじめ、有機材料や、医療分野への適用が広がりつつあります。

Alのアノード酸化物層の無蒸着観察

写真は、加速電圧1.25kVで観察した電解コンデンサの断面組織です。右斜め上の低倍像で、明るいコントラストが金属Al層、その上下の暗いコントラストがアノード酸化物層に対応します。蒸着処理がなくても酸化物層の高倍率像には、帯電による異常なコントラストは見られず、鮮明な組織の微細構造が観察できました。

写真 金属Al上にアノード酸化によりAl酸化物層を形成させた電解コンデンサ断面の二次電子像(測定条件:加速電圧1.25kV、無蒸着)
写真 金属Al上にアノード酸化によりAl酸化物層を形成させた
電解コンデンサ断面の二次電子像
(測定条件:加速電圧1.25kV、無蒸着)

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