No.11「電子で量る(2)」

No.11
電子で量る(2)~ナノ構造に迫るTEM構造解析技術~

TEMによる微細構造の観察・分析

透過電子顕微鏡(TEM: Transmission Electron Microscope)は、材料の内部構造を原子レベルで評価できる最も有力な技術として広く利用されています。
 高速電子(例えば200kV)を100nm程度以下と非常に薄くした試料に照射し、透過した電子を用いて結像すると、直接ナノレベルの微細構造観察が可能です。また、薄膜試料中では、電子がほとんど拡散しないので、この電子によって励起される特性X線を測定するEDX分析(エネルギー分散型X線分光法)やエネルギーが吸収された透過電子を測定するEELS分析(電子エネルギー損失分光法)を用いると、ナノレベルの分析が可能です。さらに、試料に照射した電子は、原子配列に特有な回折現象を起こします。この電子回折図形を解析すると、ナノ領域の結晶構造を解析することも可能です。
 すなわち、TEMを用いると、ナノレベルの微細構造の観察ができるとともに組成や結晶構造を同時に解析できるわけです。

TEM技術の応用:燃料電池用触媒の観察

写真に、燃料電池用触媒のTEM像を示します。カーボン粒子(渦を巻いたような模様が見られる)に、やや暗い2~5nmの大きさの微粒子が多数観察されています。図に示したEDX分析結果から、これら微粒子がPtであることも確認できました。この図の横軸は特性X線のエネルギーを、縦軸はその強度を表しています。TEMを用いると、この触媒では、Pt微粒子がカーボン上に保持されていることが明瞭に確認できます。
 この他、材料内部の微細析出物や、薄膜・表面処理層の皮膜、皮膜/母材の界面の合金相など様々な微細構造解析が可能です。ダイアモンドライクカーボン膜などの炭素材料の構造調査も可能です。このように、TEMを用いると、半導体・金属・セラミック・高分子など様々な材料のナノレベルの構造を明らかにできます。

写真 カーボンにPt微粒子が保持された燃料電池用触媒のTEM像(わずかに暗い部分がPt微粒子)
写真 カーボンにPt微粒子が保持された燃料電池用触媒のTEM像
(わずかに暗い部分がPt微粒子)
図 燃料電池用触媒におけるカーボンに保持されたPt微粒子のEDX分析結果(写真に矢印で示したPt微粒子を分析)
図 燃料電池用触媒におけるカーボンに保持されたPt微粒子のEDX分析結果
(写真に矢印で示したPt微粒子を分析)

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