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No.14「有機材料の不具合解析事例(1)」

JFE-TEC News No.14号 極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析 他 記事一覧

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No.14(2008年01月)
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No.14 極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析 他

有機材料の不具合解析事例(1)~プラスチック成形品の破損事例~

有機材料の不具合原因

有機材料の製品不具合の原因には、大きく(1)材料の強度や性能不足等の製品・部品原材料の問題(2)原料の乾燥不足、成形加工条件などの成形加工上の問題(3)光、オゾン、熱、金属、油などの使用環境下での材料劣化問題があります。

不具合原因の解明手法

プラスチック部品の不具合原因を解明する上で、金属部品と同様に、プラスチック部品の破壊の痕跡模様を残す破面の形態分析(フラクトグラフィ)は重要な分析手段です。不具合を引き起こした製品・部品の履歴、いつ、どこで作られ、どのように保管され、いつごろ市場にでて、どの位の期間、どの様な環境で使用された結果不具合となったのか、等の情報の収集と合わせることにより、不具合製品・部品の破損履歴を考察することができます。

フラクトグラフィによる不具合解析事例

プラスチック製品・部品の破壊の中で、最も多く発生する破壊には、ソルベントクラックと疲労破壊の2つがあります。ソルベントクラックは、ABS樹脂、ポリカ-ボネ-ト樹脂などに顕著に見られ、製品出荷から約1年以内の短期間に発生し、特に成形品の残留歪の大きな箇所に、外部から浸透してきた有機溶剤や油類などが作用して生じます。油類としては、軟質塩ビ樹脂用のフタル酸エステル系可塑剤やサラダ油、ゴマ油等の脂肪酸エステル系油類などがこれを引き起こす化合物として知られています。その破面は平坦な鏡面状態(写真1)を示す特徴があります。一方、疲労破壊は繰り返し外力や変形力が加えられることによって発生します。疲労破壊の破面には貝殻模様(写真2)を示す特徴があります。破面の広い部分が、このような疲労破壊の特徴を示している場合でも、その起点付近ではソルベントクラックが起きていることがあり、実際にはこれらの複合破壊により部品破損に至る事例が多く見られます。

写真1 ソルベントクラックによる破面
写真1 ソルベントクラックによる破面
写真2 疲労破壊による破面
写真2 疲労破壊による破面

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