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No.14「特許に係わる最近の動向(1)」

JFE-TEC News No.14号 極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析 他 記事一覧

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No.14(2008年01月)
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No.14 極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析 他

特許に係わる最近の動向(1)~米国の特許法規の改正~

米国では近年、パテント・トロール(自らは事業を起こさずに他者から多額の使用料を得る特許権者)が問題となっており、その対策を主体として、特許法や施行規則(米国特許庁の規定)の改正が予定されています。未確定の部分もありますが、以下に紹介します。

特許に係わる最近の動向(1)

2007年9月、上下院で若干内容が異なるものの、米国議会を特許法の改正案が通過し、近々成立が見込まれています。現状では特許性の無い技術でも一旦特許されると、これを無効とする手段が侵害争訟に事実上限られます。しかし米国の特許訴訟には、多大な費用や労力が掛かる、勝敗予測が困難、負けた場合の賠償額が莫大(損害の最大3倍)、等の問題があり、無効に出来そうな特許でも対抗するには多大な労力とリスクが掛かります。改正案では特許庁への異議申立制度を導入し、裁判に依らず特許を無効とする手段を強化しました。また訴訟での損害賠償額抑制のため、前記の3倍賠償の対象を限定し、さらに部品の特許料を製品全体の収益で計算したりしないよう定めました。他方で、特許出願人の義務(最適実施様態の記載、先行技術の開示等)が不履行であるという、侵害被疑者からの攻撃手段については、先行技術開示違反についてのみ、要件をより明確にしました。なお、他国の特許制度との調和等の観点から、先願主義の導入や、全件を出願公開する等の改正も盛り込まれています。しかし、先使用権の拡大は見送られ、ビジネス方法特許に限定されたままです。

施行規則改正の動向

米国特許庁は、審査の厳格化(パテント・トロール防止の為、無効となるような特許を与えない)と迅速化の両方が求められています。このため特許庁は、(1)従来無制限に認められていた継続系出願(継続出願・分割出願等の総称)の回数を制限する、(2)類似発明について審査する請求項数を(複数出願間でも)制限する等の施行規則改正を2007年11月1日から施行する予定でした。しかし大手英国企業が改正を違法として米国地裁に訴訟を起こし、10月末に仮差止が認められたため、施行の可否や時期が不透明となっています。なお、改正案では出願に際し、同じ発明者を含み、出願人が実質的に同じで、利益日(全ての優先日・米国出願日)が互いに2ヶ月以内の関係にある米国出願・特許の全リストを特許庁に提出する義務が課されますので、実質的な貢献者のみに発明者を絞ることが、負担増を回避する上で重要となります。

米国特許施行規則の改正を差止めたバージニア連邦地裁
米国特許施行規則の改正を差止めたバージニア連邦地裁

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