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No.15「特許に係わる最近の動向(2)」
JFE-TEC News No.15号 レーザー溶接の伝熱シミュレーション 他 記事一覧
特許に係わる最近の動向(2)
No.15 レーザー溶接の伝熱シミュレーション 他
特許に係わる最近の動向(2)~特許・実用新案の権利侵害訴訟判決の動向~
特許権、実用新案権の権利侵害に関する東京・大阪地方裁判所、知的財産高等裁判所の判決動向を紹介します。
東京・大阪地方裁判所の判決
権利者が権利行使を行う場合、通常は当事者同士で話合いを行い、決着がつかない場合には、東京または大阪地方裁判所へ提訴されます。特許、実用新案に関する提訴件数は毎年概ね150件程度です。裁判では、侵害の有無、権利の有効性、損害賠償の算定、差止めの可否等を審理します。審理の結果、判決が出るのは約35%であり、残りは和解、取下げ等で決着します。
図に最近3年間の判決の結果を示します。毎年、40~60程度の判決が出ています。権利者の勝訴率は15~30%程度であり、意外に低いことが分かります。権利者が勝てない理由は、権利が無効と判断される場合が多いからです。非侵害と判断された案件(権利者敗訴)の約半分は権利無効と判断されています。無効理由は進歩性なし(例えば、最適材料の単なる置換、最適化、組合せ等)が大半です。
図 東京・大阪地方裁判所の判決動向
知的財産高等裁判所の判決
地方裁判所の判決に不服の者は知的財産高等裁判所へ控訴できます。控訴件数は判決の30~50%程度と推定されます。高等裁判所でも地方裁判所と同様の審理を行い、判決を出します。毎年20数件の判決が出ていますが、これらのうち、0~3件は逆転判決となります。逆転判決では、権利者が敗訴する場合が多く、原因は権利無効です。
従って、無効理由のない権利を確保することが大切といえます。
また、権利の有効性の判断基準は特許庁と裁判所間で完全には一致していません。両者の判断基準の統一が望まれます。
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