JFE-TEC News
No.16「CAEにおける有限要素法による数値解析事例(1)」
JFE-TEC News No.16号 高精度赤外線カメラ応用例 他 記事一覧
CAEにおける有限要素法による数値解析事例(1)
No.16 高精度赤外線カメラ応用例 他
CAEにおける有限要素法による数値解析事例(1)~ラジアントチューブの熱応力解析~
ラジアントチューブとは
バーナーとそれを内部に保有するチューブで構成された加熱装置をラジアントチューブと言い、無酸化雰囲気連続加熱炉における加熱手段として多く用いられています。
ラジアントチューブ寿命の影響因子
ラジアントチューブを用いて被加熱物を900℃程度の高温まで急速加熱するには、ラジアントチューブの温度は950℃~1000℃が必要となります。このような高温で使用されると酸化による材質劣化が発生しますが、それよりもむしろ高温における強度低下および不均一温度分布に起因する熱応力のため、ラジアントチューブの割れや変形が問題になり、これらによって寿命が決まることが多いのが現状です。
熱応力・熱変形シミュレーション
最近(2006年度)、(財)機械システム振興協会委託事業として「熱処理業における安全性に関わる研究調査」が行われました。実規模のW型ラジアントチューブ方式加熱炉を用いた燃焼試験が実施され、温度分布データなどが採られています。その調査研究の一環としてラジアントチューブの安全性を評価するため、当社と(社)日本工業炉協会が担当した数値シミュレーションによる熱応力、熱変形解析が実施されました。実際に計測された加熱炉内のラジアントチューブ温度分布条件(図1)に対する熱応力、熱変形を解析しました。その熱応力結果を図2に示します。直管部の左端部は加熱炉壁に固定されており、加熱炉内に突き出たW型管からの放射熱によって被加熱物が加熱されます。曲管部に大きな応力が発生することがわかります。しかし、高温ではクリープ変形が生じて熱応力は急速に減少していきます。1000時間後には図3に示すような小さな応力状態になります。高温における熱応力解析にはクリープの考慮が重要になります。
図1 温度分布(℃)
図2 熱応力(相当応力)分布(クリープ無し, MPa)
図3 熱応力(相当応力)分布(1000h経過, MPa)
関連リンク・関連記事
このページに関する
お問い合わせはこちらから
- JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
- 0120-643-777