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No.18「定量の極限を目指す化学分析(1)」

JFE-TEC News No.18号 金属材料のオンサイト分析(出張分析)-グリーンファクト®️- 他 記事一覧

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No.18(2009年01月)
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No.18 金属材料のオンサイト分析(出張分析)-グリーンファクト®️- 他

定量の極限を目指す化学分析(1)~微量分析としてのICP(その1)発光と質量分析~

誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma; ICP)とは、Arガスに高周波を供給して生成した高温の電離気体で、生成の様子を写真に示します。ICPはプラズマ温度;~10,000K、電子密度105個/cm3と高く、さらに分析試料を効率的に導入できる「ドーナツ構造」となっていることから、安定で効率的な励起源・イオン化源として微量分析に活用されています。

ICP発光分析法(ICP-AES)

ICP-AESは、ICPを分析元素の励起源として利用した分析法です。分析試料を酸分解などで溶液とした後ミスト状にしてICPに導入すると、ICP内で元素は原子化・イオン化され、更に励起状態となります。この励起された元素が低エネルギーの基底状態に戻るときに放射する光(発光)を測定するのが、ICP-AESです。
定量分析は、放射光から元素固有の光を選び出し、その強度を測定することで行います。この放射光の分光測光方式にはシ-ケンシャル型とマルチチャンネル型がありますが、微量成分を精度良く定量するためには多数の放射光から最適な測定光を高い分解能で選び出すことができるシ-ケンシャル型の方が適しています。

ICP質量分析法(ICP-MS)

ICP内では多くの金属元素は90%以上が1価の陽イオンとなります。このイオンを質量分析計に取込み測定する手法がICPMSです。質量分析としては比較的低価格な四重極型が通常用いられますが、Pなどのように感度が低くスペクトル干渉の影響を大きく受ける元素については、二重収束型質量分析計を用いることで極微量の検出を可能としています。
ICP-AES、およびICP-MSで水溶液を測定し得られる検出下限値と、広範囲に普及している原子吸光法(AA)で得られる検出下限値を図に示しました。下限値が幅をもつように、それぞれの分析法には得意とする元素があります。また、得意とする試料組成や濃度レンジもあります。これらの特長を良く理解した上で上手く使い分けすることにより、主成分から極微量成分まで、精度良く定量することが可能になっています。

写真 ICPプラズマ(ICP中心部の青白い光はFeの放射光によるものです。)
写真 ICPプラズマ(ICP中心部の青白い光はFeの放射光によるものです。)
図 各種分析法の検出下限値の範囲
図 各種分析法の検出下限値の範囲

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