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No.23「蛍光X線分光分析」
JFE-TEC News No.23号 膜厚の面分布を高解像度で迅速に測定できる『FiDiCa』 他 記事一覧
No.23 膜厚の面分布を高解像度で迅速に測定できる『FiDiCa』 他
蛍光X線分光分析~迅速定量分析としての応用~
蛍光X線分析法は、固体・液体を問わずさまざまな材料を簡便迅速に分析できる技術であり、多様な分野で利用されてきました。近年、エネルギー分散型検出器を用いた装置において、分析精度向上や装置のコンパクト化がなされ、その応用分野が更なる広がりをみせています。
原理と特徴
エネルギー分散型蛍光X線分析装置では、試料にX線を照射して放射される蛍光X線のエネルギーと強度より定性・定量分析を行います。フィルターを用いたバックグラウンド低減技術の実用化や、液体窒素フリーの高感度検出器の開発、試料の形状補正や理論計算による定量のためのソフト開発などにより、迅速分析が可能な装置となっています。
図 蛍光X線によるプラスチック中微量鉛の測定結果
迅速分析としての活用事例
1)RoHS及びREACH規制への応用
RoHS指令5元素6物質の測定など、重金属やハロゲン元素の簡便なスクリーニングに極めて有効な手法です。図にプラスチック中微量鉛の測定事例を示しました。本装置は、ppmレベルの優れた検出感度を有し、100ppm以下の微量濃度域においても含有量と測定強度には強い相関が得られます。定量は、このような相関曲線(検量線)を用いることで精密定量しますが、検量線作成が難しいケースでは、X線強度を理論計算して含有量を推定する簡易定量法(ファンダメンタルパラメータ法)などを利用することで、スクリーニング評価が可能となっています。
2)土壌オンサイト分析への応用
土壌調査現場に装置を持ち込み、その場で土壌中の重金属類を分析することが可能です(写真)。ボーリングなどにより採取した土壌を乾燥・篩分したのちに分析することで、有害な重金属の有無やその含有量を迅速に把握することができ、大幅な調査期間の短縮と調査費用の削減が図れます。鉛、カドミウム、クロム、水銀、砒素、セレンなど多くの有害成分を測定でき、この技術は「重金属等の土壌汚染調査の簡易で迅速な技術」として東京都より認定を受けています。
写真 自動車での移設が可能なオンサイト分析装置と分析風景
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