No.24「微細構造を明らかにする物理解析(7)」

No.24
微細構造を明らかにする物理解析(7)~不活性雰囲気下で測定したXPSによる電池材料の化学結合状態~

XPS 分析の背景

リチウムイオン二次電池の不具合原因の一つとして、過充電により負極部表面に析出した金属リチウムによる電池内部の短絡が知られています。さらに、金属リチウムは非常に反応性が高く、大気下で電池を解体すると空気中の水分や酸素と反応し、即座に変質してしまいます。そのため、電池中のリチウムの挙動を把握するには、不活性雰囲気下で試料を扱うことが必須です。
このような元素の化学結合状態を調べる手法として、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は大変有力です。XPSでは、固体試料の極表面(表面から5nm程度)に存在する元素の結合エネルギーを測定し、化学結合状態を決定します。当社では、電池材料のXPS測定のため、不活性雰囲気における試料の取り扱いを可能としました。加えて、X線による試料ダメージが小さく、化学結合状態を定量的に、かつ深さ方向にも評価できるXPSは、電池材料の分析・評価に適しています。

XPS のリチウム測定例

図に、長期間の使用により膨張した携帯電話の角型リチウムイオン二次電池を不活性雰囲気下で解体し、取り出した電池負極部(炭素材)表面におけるリチウムの化学結合状態を解析した例を示します。リチウムピークを化学結合状態別に分離することで、リチウム化合物中に約20%の金属リチウムが存在することが分かりました。
当社では、XPSだけでなくSEM・TEM・FIB等の各種分析装置においても、不活性雰囲気下で取り扱う手法を確立しており、リチウムイオン二次電池の調査を行ないます。この他、金属材料をはじめ、各種材料の表面改質層や変色部の調査など、表面の詳細な化学状態解析により、材料の研究・開発や不具合調査をお手伝いいたします。

図1 フェライト系ステンレスにおける結晶粒界近傍のCrsの分布(白線で線分析位置を示す)
図 電池負極材表面リチウムのXPS測定例

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部

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