No.25「微細構造を明らかにする物理解析(8)」

No.25
微細構造を明らかにする物理解析(8)~表面微小部を分析するAES~

AES の特徴

オージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)は、前号で紹介したX線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)と同様に、固体試料表面から数nmの深さに存在する元素を分析する手法です。AES法は電子線を細く絞って照射することにより、サブミクロン領域の局所表面に存在する元素を測定することができます。また、表面の元素分析とイオンエッチング(スパッタリング)を併用することにより、極表層から元素の深さ方向分布を測定することができます。ステンレスの不動態被膜や、各種蒸着薄膜、表面改質処理層などの極表層部の元素分析、および深さ方向の元素分布分析に有用です。さらに、金属表面の変色部調査においても有益な情報を得ることができます。

AES の測定例

図は、金メッキされたコネクタピン表面の変色部(約20μm2)を対象にして、極表層から深さ方向の元素分布を測定した結果です。金メッキ層の直上に銅と酸素が多いことから、銅の酸化物層の存在が確認されました。(極表面の炭素の多い部分は試料調製中に起こったコンタミネーションと考えられます。)測定例の場合では、金メッキ層の下層に存在する銅成分がメッキ中または欠陥部を通して拡散し、表面で酸化されて変色が発生したものと推定しました。
 上記の例のほかに、サンプルを真空に保持したAES装置内で破断し、破断面をそのまま分析する方法や、2次電池の構成部材を大気に曝さずに分析する技術などを確立しています。当社では、金属材料の酸化膜や変色などの極表面状態の調査に対して、お客様のニーズに合わせた適切な分析方法を選定し、お客様が欲する結果をご提供致します。

図 金メッキ表面変色部のAES 深さ方向分析例(横軸:SiO/Si 標準物質スパッタレートによる換算値)
図 金メッキ表面変色部のAES 深さ方向分析例
(横軸:SiO/Si 標準物質スパッタレートによる換算値)

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