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No.26「電池LAB(1)」
JFE-TEC News No.26号 電池LAB(1) 他 記事一覧
No.26 電池LAB(1) 他
電池LAB(1)~Liイオン2次電池(LIB)材料の大気非暴露下での分析技術~
LIB材料分析技術の課題;大気非暴露化
ハイブリッド車や電気自動車の実用化進展に伴い、Liイオン二次電池の高容量化、高速充電特性の向上、電池の寿命延長などに関する研究開発が活発に行われています。
これらの研究開発を進めるに当たり、透過型電子顕微鏡(以下TEM)をはじめとした各種物理解析装置を用いた電池構成物質の構造解析及び劣化解析は非常に重要です。
Li化合物は一般に反応性が高いため、大気中の酸素と容易に反応してしまうという性質を有しています。従って、Li化合物を分析する際には、電池を解体して分析に供する物質を取り出すところから、物理解析装置に装入して観察を行う一連の作業工程をすべて、大気非暴露下で実施する必要があります。当社ではこの分析システムを構築いたしました。
負極材表層部のTEM 観察
写真1は、充放電サイクル試験に供したLiイオン電池負極材の断面TEM写真です。電池を解体して負極材を取り出し、それを薄片に加工する作業、及びその薄片を電子顕微鏡に装入する作業は、この大気非暴露下ハンドリングシステムで実施しました。
全体的に黒鉛の典型的な層状構造が観察されますが、点線で囲った領域では、この層状構造に乱れが生じ、およそ数十nm厚の皮膜が形成されています。この部分には、図1に示す電子エネルギー損失分光分析(EELS)結果が示す様に、Liが存在しており、組成分析結果からLiフッ化物であることを確認しました。一般的に充放電により負極材の表面に形成される高分子構造を有する複合構造物質SEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれるものであると推定されます。
大気非暴露分析技術の展開
本事例のような大気非暴露下でのTEM観察は、電池の局所反応の解明ひいては電池の劣化メカニズム解明に非常に有効です。
当社では、電池材料評価センターを開設し、この大気非暴露下での試料調整技術および観察技術をTEM以外のSEM、XPS、AES、熱分解MS等へ拡大展開し、お客様の多様なニーズにお応えしております。
写真1 負極材表層部の断面TEM像(充放電サイクル試験後のLiイオン二次電池負極断面)
図1 SEI層のEELS測定結果
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