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No.26「高性能赤外線カメラ測定技術(1)」

JFE-TEC News No.26号 電池LAB(1) 他 記事一覧

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No.26(2011年01月)
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No.26 電池LAB(1) 他

高性能赤外線カメラ測定技術(1)~迅速疲労測定装置~

迅速疲労測定の原理

高性能赤外線カメラの応用技術として、疲労の迅速測定があります。測定原理は、繰返し荷重を受ける材料内部で起こる転位やマイクロクラックなどが生成する際に発生する散逸エネルギーを、高性能赤外線カメラで測定する非破壊検査法です。物理学における散逸とは、運動エネルギーなどが熱エネルギーに不可逆的に変化する過程と定義されます。

疲労限界の測定法

赤外線カメラによる疲労試験において繰り返し荷重を増大していくと、散逸エネルギーが急に増加する点があります。この荷重点が疲労限界に相当します。材料内部で微小な疲労クラックの進行が始まったことを示しています。測定時間は、従来法に比べて1/10 ~1/100です。
この利点は、最近問題となっている長期間使用する設備の長寿命疲労(ギガサイクル疲労)の測定に応用できます。介在物起因の疲労破壊は、表面近傍の散逸エネルギーレベルの高い箇所から発生します(図1)。この時に、散逸エネルギーレベルが大きく変化する屈曲点が2箇所の繰返し応力値で観測され、第1屈曲点が、介在物起因の長寿命疲労限界、第2屈曲点が、従来の表面から発生するクラックによる疲労限界ではないかと推定されます(図2)。長寿命疲労の破壊試験は長時間となるため時間的制約から測定が困難でしたが、本手法により疲労限界が容易に測定できる可能性があります。

図1 疲労試験片の散逸エネルギー分布図
図1 疲労試験片の散逸エネルギー分布図
図2 散逸エネルギーによる疲労限界測定
図2 散逸エネルギーによる疲労限界測定

有効な利用方法

高性能赤外線カメラによる疲労測定の最大の利点は迅速性と、2次元画像で観察できることです。製品開発における疲労限界の把握において、高性能赤外線カメラによる迅速疲労測定は、材料、形状、施工方法などの開発項目を絞り込むスクリーニング試験に適しています。その後に、従来の破壊疲労試験で再確認するのが最も有効な利用方法です。

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