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No.27「電池LAB(2)」
JFE-TEC News No.27号 電池LAB(2) 他 記事一覧
No.27 電池LAB(2) 他
電池LAB(2)~Liイオン二次電池における充放電挙動を探る~
Liイオン二次電池の研究開発動向
Liイオン二次電池の自動車・産業機器などへの適用拡大に伴い、高容量・高出力化と長寿命化の研究開発が精力的に行われています。当社は、充放電の繰り返しにより電池構成物質に起こる局部的な変化を直接捉えることができれば、前記研究開発の進展に大きな貢献ができるものと考え、「充放電挙動を探るin-situ観察と分析」という課題に取り組んでいます。
電池構成物質の分析手法
電池の充放電反応場における現象を捉えるためには、電極界面で起こる化学反応と生成物質を把握する必要があります。生成物質を分析する手法として、形状を観察するSEMやTEM、元素の定性や定量するEDX分析などが行なわれます。有機成分分析にはFT-IR、レーザーラマン分光法、NMR、TOF-SIMSなどが、無機成分の表面分析にはXPS、FEAESなどが用いられています。これらの分析に供するサンプルの採取は、電池構成材料や生成物質が容易に空気中の酸素や水分と反応するため、大気を遮断した不活性ガス雰囲気下で行われています。しかし、これらの分析方法は、反応中の状態を直接捉えるものではないために、充放電反応時のin-situ観察やin-situ分析することは困難でした。
活物質のin-situ 観察と分析
当社は、セル形状や窓材質、電極配置を工夫して、in-situ観察と分析が可能な簡易型充放電セルを考案しました(図1)。
図1 In-situ観察・分析用簡易型充放電セルの構造
充電を行いながらカーボン負極をビデオマイクロスコープでin-situ観察した結果、連続して起こる活物質の色調の変化が確認できました(図2)。
図2 負極活物質の定電流充電時のin-situ連続観察
(黒鉛系粒状カーボン負極活物質の定電流
充電条件におけるその場観察事例)
同時に行なった負極活物質のFT-IR分析ではリチウムアルキルカーボネートやカルボン酸塩が検出され、電解液の分解あるいはSEI(Solid Electrolyte Interface)の生成が示唆されました(図3)。また、過充電を行った測定例では、金属Liとみられるデンドライト状物質の析出挙動を連続観察することもできました。
図3 負極物質の充電時のin-situ
FT-IR分析
(図2(B)における負極活物質表面のその場FT-IR分析事例)
この様なin-situ観察と分析により、充放電反応時の連続的な変化を直接捉えることが可能となり、複雑な電池反応を解明するキー技術になるものと思われます。In-situ XRDや擬似in-situ SEM/TEMの技術も確立中です。電池のin-situ観察と分析にご興味がございましたら、是非、当社にご相談下さい。
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