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No.27「微細構造を明らかにする物理解析(10)」

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No.27(2011年04月)
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No.27 電池LAB(2) 他

微細構造を明らかにする物理解析(10)~極低加速電圧SEMによるナノ微粒子の相別粒子解析~

はじめに

エネルギー分散型X線分光(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDX)法は、電子線により試料表面近傍で励起された特性X線を分光し、微小領域の元素分析を迅速に行う技術です。一般にこの装置は走査型電子顕微鏡(Scannning Electron Microscope:SEM)に搭載され、局所領域の元素分析に活用されています。近年、PCの処理速度向上、HDの大容量化により、EDXの面分析における各測定点すべてに、EDXスペクトルデータを取込む「スペクトラルマッピング」が可能となりました。個々のスペクトルデータを多変量解析し、形状と強度の特徴を抽出すると、相ごとのスペクトルに分離でき、相定量マッピングや粒子解析に威力を発揮します。

極低加速電圧SEM によるナノ粒子の析出相別解析例

図1に、市販ステンレス鋼のSEM写真を示します。50nm~200nm径の明るいコントラストをもつ粒子が多数観察されます。鋼中には炭化物、酸化物など複数種のナノサイズ析出物が存在しますので、この写真のコントラストを二値化しただけでは、粒子の組成情報は不明のままです。

図1 SEM写真
図1 SEM写真

この課題を解決したのが、図2に示す相分離マッピングによる粒子解析です。写真の視野を極低加速電圧SEMに搭載したEDX装置により元素マッピングを行い、析出物分離解析を実施すると、析出物毎のマッピングデータが得られます。この事例では、炭窒化物系、酸化物系、硫化物系の3種類の化学状態に分離されています。分離したマッピングデータをさらに粒子解析することにより、析出物の種類ごとの粒度分布も明らかにすることができました。
極低加速電圧SEMのEDX分析を適用すると、本事例のように、高い空間分解能でナノ微粒子の種類ごとの分布状況が可視化できるだけではなく、粒度分布や平均粒径も定量評価することが可能です。当社では、最新の分析・解析技術を駆使して、ナノ微粒子のモニタリングに新たな世界をご提供いたします。

図2 相分離マッピングと粒子解析
図2 相分離マッピングと粒子解析

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