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No.30「標準物質(2)」
JFE-TEC News No.30号 テラヘルツ波非破壊検査装置 他 記事一覧
No.30 テラヘルツ波非破壊検査装置 他
標準物質(2)~RoHS規制対応分析用プラスチック標準物質~
前号では、計測における標準物質の役割と全世界で当社の標準物質が利用されていることをご紹介しました。本号では、標準物質の中で特に重要な認証標準物質と当社で開発したRoHS規制対応分析用のプラスチック標準物質についてご紹介します。
標準物質の中には「認証標準物質」と呼ばれるものがあります。「認証標準物質」は、JIS Q 0031に規定された認証書の付いた標準物質のことで、標準値のトレーサビリティおよび不確かさが明示されています。通常入手可能な標準物質のうち、最も信頼性の高いものです。国際的な商取引や相互比較の際に利用される証明データに対する品質保証には、一般的に認証標準物質を使用することが求められます。
当社が開発したRoHS規制対応分析用のプラスチック標準物質(化学分析用および蛍光X線分析用、図表)は国際的なデータベースCOMARに認証標準物質として登録されています。当標準物質はプラスチック原料に目的成分を配合して作製します。標準値と不確かさは、同一試料を用いて当社の複数個所で分析して得られた多数の分析値を統計的に処理することにより決定し信頼性を確保しています。
EUのRoHS指令では電気・電子産業分野でCd、Pb、Hg、Cr6+等の有害成分の使用を規制しています。各有害成分の定量は化学分析による精密分析と蛍光X線分析による簡易分析が一般的です。当社の標準物質は化学分析用と蛍光X線分析用があり、EUの規制に対応した分析にご利用いただいています。
化学分析用のJSM P700-1はシングルμg/gの有害成分を複合添加したことが特徴であり、低濃度域での同時定量法(ICP-AES等)の管理用として適しています。また、蛍光X線分析用のJSM P710-1は、低濃度から高濃度までを広くカバーしており、広範囲の検量線作成が可能です。
当社では、ご紹介したもの以外の標準物質も広く取り揃えています。お客様のご要望に応じた素材や組成の標準物質も作製致しますので、お気軽にご相談下さい。
写真 RoHS規制対応分析用
プラスチック標準物質
表 RoHS規制対応分析用プラスチック標準物質の標準値
(a)化学分析用(試料形状: 粒状、50g /ビン)⁄ ∗:参考値
試料No. | Cd | Pb | Hg | Cr | As | Br | Cl | S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
単位 | (μg/g) | (%) | ||||||
JSM P 700-1 | 5.0 | 5.0 | 5.3 | 4.9 | 9.1 | 0.002 ∗ | 0.004 ∗ | 0.006 ∗ |
JSM P 701-1 | 113.5 | 111.3 | 111.6 | 114.8 | 187.3 | 0.05 ∗ | 0.06 ∗ | 0.04 ∗ |
表 RoHS規制対応分析用プラスチック標準物質の標準値
(b)蛍光X線分析用(試料形状:30mm×30mm、3mm t、7水準/セット)⁄ ∗:参考値
試料No. | Cd | Pb | Hg | Cr | As | Br |
---|---|---|---|---|---|---|
単位 | (μg/g) | (%) | ||||
JSM P 710-1 |
<1~1.11×103 | <1~1.12×103 | <1~1.09×103 | <1~1.10×103 | <1~1.95×103 | <0.001~0.62 |
図 蛍光X線分析用試料の検量線作成例(Cd、Pb)
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