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No.31「 材料の微生物腐食評価」
JFE-TEC News No.31号 電池材料の物理解析技術(1) 他 記事一覧
No.31 電池材料の物理解析技術(1) 他
材料の微生物腐食評価
図1 ステンレス鋼の
溶接部に発生した 微生物腐食
微生物腐食は、MIC(MicrobiologicallyInfluenced Corrosion:微生物誘起腐食)とも呼ばれ、材料(金属、非金属問わず)が微生物の作用によって腐食(劣化)する現象です。例えば、ステンレス鋼においては、数1000ppmのCl-中でも十分な耐食性を示しますが、微生物の影響を受ける場合、数10ppm程度のCl-でも、図1に示すような腐食を起こすことがあります。微生物腐食は、河川・ダム、水処理設備、海洋設備など、ほぼ全ての自然環境下で発生いたします。
写真 現地における電位測定状況
金属材料の腐食は、電気化学的な作用により生じますが、微生物腐食は微生物が電気化学的な作用を助長することにより生じるといわれています。そのため、微生物腐食の調査では、金属の腐食程度に加えて微生物の種類や繁殖の程度の調査、さらに微生物の作用による電位の変化などの調査が必要となります。微生物が繁殖している状態における電位は、微生物の代謝の影響を受けるため、実地において測定しなければなりません。写真は、現地における電位測定状況の様子を示しています。
図2 微生物によるステンレス鋼の電位貴化
図2は、微生物が存在している環境と実験室の滅菌した環境におけるステンレス鋼の自然浸漬電位を比較したものです。微生物が存在する場合は、微生物が存在しない場合に比べて数100mV程度電位が高くなります。そのため、ステンレス鋼の腐食発生電位(孔食電位、腐食すきま再不動態化電位)を超え、腐食が起ります。
ステンレス鋼の腐食に影響のある微生物としては、好気性細菌、鉄酸化細菌、マンガン酸化細菌、硫酸塩還元菌などが知られていますが、これらの微生物は、培養法、遺伝子解析法などで特定することができます。
当社は、微生物腐食が生じているか否か、微生物の種類の特定、さらに対策等を種々の調査により解析・提案することにより、お客様のトラブル解決に貢献いたします。
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