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No.32「高速摩擦摺動試験」
JFE-TEC News No.32号 収差補正走査透過電子顕微鏡による高分解能組織観察 他 記事一覧
No.32 収差補正走査透過電子顕微鏡による高分解能組織観察 他
高速摩擦摺動試験~高速で摩擦係数を測定する試験機の紹介~
写真1 高速摺動試験装置
環境保全の観点から、自動車の低燃費化、引いては車体の軽量化の動きが加速しています。その際、普通鋼を用いる場合と比較して590MPa級の高張力で板厚の薄い鋼板が使用されますが、金型成形時に割れ・しわが発生しやすく、また、硬い素材であるため金型寿命が短くなるという問題があります。そこで、前記素材の開発・生産性の高い金型の製作および高速プレス条件の選定に当たって、摺動性を詳細に評価したいというニーズが高まっています。
このようなニーズに対応する上での有効な評価指標は摩擦係数になります。摩擦係数は、お互いの表面状態(表面粗さ、めっきの種類など)や表面潤滑剤の有無、その種類などにより変化します。摩擦係数の値を知ることによって、金属成形加工時に破断やシワなどの不具合発生を予測することができます。
ここでは、このようなニーズにお応えするための高速摺動試験装置(写真1)についてご紹介いたします。
高速摺動試験装置は、被加工材に摺動金型を一定の力で押付け、金型をスライドさせたときの荷重を測定することにより、摩擦係数を算出する装置です。
図1 摺動試験結果の例
当該装置は、最大10m/minの高速で試験することができます。また様々な形状の押付治具を備えており、種々の面圧試験に対応することができます。
さらに潤滑油や金型の形状、表面性状等を変化させることも可能です。
また押付荷重は、0.6~18.6kN(60~1900kgf)までの範囲で変化させることができます。
図1に冷延鋼板と金型製作に用いられた鋼材との摺動試験により得られた押付荷重、引抜荷重および算出した摩擦係数を示します。この図から、ある特定の摺動範囲における平均摩擦係数を算出することもできます。
このように、高速摺動が可能な試験装置を用い、様々な面圧、潤滑条件、金型形状の試験を実施することにより、お客様の摺動性改善や金型寿命延長などの技術開発をご支援いたします。
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