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No.44「リチウムイオン二次電池の分析・評価技術(1)」

No.44 磁気特性の評価技術(5) 他

リチウムイオン二次電池の分析・評価技術(1)~SEI構造のTEMによる新しい解析技術~
A new TEM analysis for Solid Electrolyte Interface

はじめに

SEI(Solid Electrolyte Interface)は、初期充電過程において、電解液や添加物の分解によって負極上に形成されるLi化合物です。負極と電解液の界面において、Liイオンの進入脱離を容易にする一方で、容量低下の原因ともなりうるため、SEIの組成や結晶性を調べることは、電池性能を向上させる上で非常に重要です。

SEIの解析手法

当社では、TEM(Transmission Electron Microscope)を用いたSEIの解析技術として、新しい方法を提案しています。従来は、充放電後の電極をTEM観察用薄片に加工していたため、その加工中にSEIの損傷・消失が起こるという問題がありました。

そこで、充放電前の電極の一部を特殊な方法によって薄片に加工し、充放電可能なTEM観察試料としてこれを充放電することによりSEIを形成させました。この方法ではSEI形成後に薄片化加工を行わないため、SEIの損傷・消失の心配がありません。また、SEI形成前と形成後で同じ場所を観察できるため、SEI形成前後の比較が可能になります。

観察・分析例

Siを用いた負極の充電後(写真1)の観察例を示します。Si負極上にSEIとみられる層が不均一に成長しており、厚みは約500nmでした。SEIの組成は、EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)(図1)や電子回折図形(写真2)の解析結果から、Li2Oであることを確認しました。

写真1 充電後のSi負極のTEM像
写真1 充電後のSi負極のTEM像
図1 SEIのEELSプロファイル
図1 SEIのEELSプロファイル
area1 のLi-K EELS プロファイルはLi2O標準物質と類似している。
 
写真2 SEIの電子回折図形
写真2 SEIの電子回折図形
area1 の電子回折図形から得られる面間隔は
Li2Oと一致している。

このように最先端の分析技術を用いて、電池開発における様々なご要望にお応えいたします。お気軽にご相談ください。

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