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No.44「港湾構造物の強度評価試験 」
JFE-TEC News No.44号 磁気特性の評価技術(5) 他 記事一覧
No.44 磁気特性の評価技術(5) 他
港湾構造物の強度評価試験
Strength Evaluation Examination of the Port Facilities
はじめに
1995年の兵庫県南部地震では、港湾構造物である鋼管杭式桟橋が国内初の大規模被害を受けました。その後、2011年の東日本大震災により港湾施設の耐震強度の重要性が再認識されました。港湾施設は、被災後における緊急物資の輸送や被災地への人員派遣の拠点として重要な役割を担うため、損傷後の供用の可否もしくは限定的な利用判断を行う必要があります。このような損傷を受けた構造物の残存耐力評価や有効な補修方法を確認する試験として、当社が実施した2件の試験事例を紹介します。
(1)鋼管杭式桟橋の残存耐力評価試験
地震動を受け損傷した桟橋の残存耐力を確認するため、実際の桟橋を対象として行った残存耐力評価試験を紹介します。図1に鋼管杭式桟橋を、図2に試験事例を示します。製作した試験体は、法面に対して鋼管杭1列分を仮想固定点としてモデル化(縮尺1/4)しました。載荷試験は、正負交番載荷により地震動を模擬した水平力を作用させ、損傷した桟橋上部工に上載荷重を模擬した鉛直荷重を作用させる方法で、損傷後の残存耐力を評価しました。
図1 鋼管杭式桟橋 |
図2 鋼管杭式桟橋の残存耐力評価試験 |
(2)鋼管杭の補修効果確認試験
地震動により損傷を受けた鋼管杭の補修効果確認試験を紹介します。試験手順を図3に示します。①中空の鋼管杭に設計軸力として想定した上載荷重を与え続けます。②水平地震力により鋼管杭を損傷させます。③損傷時の軸力および水平力を保持した状態で、鋼管杭内部にコンクリート充填補修を施し、硬化を待ちます。コンクリート硬化後の載荷試験において、④水平地震力の増加、もしくは⑤上載荷重増加による最大耐力を確認しました。結果として、初期の損傷状態と補修コンクリートの充填による補修効果の有効性が確認できました。当社では紹介した試験の他、構造試験に関するさまざまなご要望に対応いたします。是非お気軽にご相談ください。
図3 鋼管杭の補修効果確認試験
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