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No.44「鋼溶接部の拡散性水素試験(ISO 3690高温抽出法)」

No.44 磁気特性の評価技術(5) 他

鋼溶接部の拡散性水素試験(ISO 3690高温抽出法)
Determination of Hydrogen Content in Arc Weld Metal by Hot Extraction Method

写真1 G4 Phoenix (Bruker社製)
写真1 G4 Phoenix
(Bruker社製)

鋼材の溶接部は、水素によって低温割れが引き起こされることが知られています。アーク溶接時に雰囲気などから溶接部に侵入した水素は、鋼中を拡散移動する拡散性水素と、介在物等にトラップされて比較的高温まで放出されない非拡散性水素とに分けられます。このうち拡散性水素が割れに影響することが知られています。溶接における拡散性水素量は、常温で放出される水素量として定義され、JIS Z 3118「鋼溶接部の水素量測定方法」では、捕集容器に試験片を格納し、45℃で72時間保持して水素を放出させ、ガスクロ分析する手法が規定されています。この方法では試験片の溶接を行ってから結果が判明するまで3日以上が必要でした。

一方近年、国際規格ISO 3690:2012で400℃までの高温抽出による迅速測定方法が規格化され、この方法を用いると、水素を高温で放出させながら測定を行うことで、1時間程度で結果を得ることができます。当社では、新たに導入した分析装置「G4 PHOENIX(独Bruker社製)」(写真1)により、ISO規格に対応した迅速法による分析が可能です。

この分析装置では、水素の放出特性調査(図1)や800℃までの昇温測定も可能です。また、従来測定ができなかった大型サイズの試料(12×25×80mm)を用いた測定ができます。さらに溶接金属以外でも、0.05ppm~数100ppmの高濃度の水素昇温測定に対応できますので、水素測定に関する課題がございましたら、お気軽にご相談下さい。

図1 水素放出曲線の一例
図1 水素放出曲線の一例

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