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No.47「医薬品中の不純物や分解生成物の構造解析 」
JFE-TEC News No.47号 リチウムイオン二次電池の分析・評価技術(4) 他 記事一覧
医薬品中の不純物や分解生成物の構造解析
No.47 リチウムイオン二次電池の分析・評価技術(4) 他
医薬品中の不純物や分解生成物の構造解析 ~分取型液体クロマトグラフ質量分析(分取LC/MS)-オンライン固相抽出(SPE)システム~
Structure Elucidation of Pharmaceutical Impurities and Degradation Products
はじめに
医薬品の承認申請では、不純物や分解生成物など0.1%以上で存在する化合物の構造解析が必要であり、様々な分析法を用いて得られたデータを総合的に解析することで構造推定を行います。この構造推定においては、対象となる化合物を単離濃縮して核磁気共鳴(NMR)法で解析する技術がもっとも有効な手法ですが、化合物の単離濃縮に手間と時間を要する上、濃縮中に成分が分解して構造が変化したり、濃縮率が低いことによる測定感度の不足など、様々な課題がありました。
分取LC/MS_オンラインSPE(固相抽出)の特長
当社では、これらの課題を解決するため、分取型LCにSPEをオンラインで組み込んだ分取LC/MS-SPEシステムを実用化しました(写真1)。このシステムを用いることにより、LCで分取した画分をバルブ切り替えによりSPEに導入して微量な化合物を単離濃縮することができます。このため、簡便に短時間で処理することができ、処理中の化合物分解の抑制や、濃縮率改善による測定感度の向上が可能となりました。
図1に、ジクロフェナク(鎮痛消炎剤)中0.1%含有する不純物Cを当該システムで単離濃縮しNMR解析した事例を示します。単離濃縮に要した時間は約3時間と短く、構造解析に必須である二次元HMBCスペクトル(1H-detected Multi-Bond heteronuclear multiple quantum Coherence spectrum)を得ることができました。
写真1 分取LC/MS-オンラインSPEシステム
図1 ジクロフェナク中0.1%含有不純物CのHMBCスペクトル
おわりに
当社は、本年4月より医薬品分析事業に本格参入いたしました。ここに紹介した微量化合物の構造解析をはじめ、微量元素分析、純度分析など様々な調査・分析サービスを実用化し、お客様にご提供していきます。お気軽にご相談ください。
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