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No.49「医薬品開発・申請のための不純物構造解析」
JFE-TEC News No.49号 医薬品 特集号 記事一覧
No.49 医薬品 特集号
医薬品開発・申請のための不純物構造解析~正確で迅速な有機不純物の構造解析~
Accurate and Rapid Structure Elucidation of Unknown Impurities in Pharmaceutical Ingredients
はじめに
医薬品の承認申請では、成分中に0.1%以上存在する有機不純物の構造決定を行うことが要求されます。構造決定は、一般的に核磁気共鳴(NMR)法と質量分析(MS)法を用いて、①組成式の決定、②単離(分離・濃縮)、③構造決定、のステップで進めます。当社では、各ステップに最先端な装置を導入し、適切な条件で測定を実施することで、正確かつ迅速な構造解析を行っています。
正確で迅速な構造解析
市販試薬のバルサルタン成分中に含まれる不純物の構造解析を行いました。この事例を用いて当社の解析技術を紹介します。
① 組成式の決定 二次元液体クロマトグラフ(2D-LC)を使うことで、局方に準じてりん酸塩移動相で得たクロマトを再現し、確実に目的物質を質量分析することができます。高分解能な質量スペクトルと解析技術で正しい組成式を決定することが可能となりました。
② 単離(分離・濃縮) ①で得られた質量情報を基に不純物を単離します。用いるシステムは、分取型LC/MS-オンライン固相抽出(SPE)システム(2D-LC-SPE-MS) で、二段階分離により不純物を高度に精製することが可能です(図1)。また、このシステムでは、多量の試料を一度に分取してSPEに濃縮することで、短時間での分離・濃縮を実現しました。これにより、分解しやすい成分であっても、極限まで分解を抑えることが可能となりました。
図1 バルサルタン中不純物の分離・濃縮
当社の分取・濃縮システムによる二段階の分離によって微量不純物が主成分から単離、濃縮されます。
③ 構造決定 単離した画分をNMR装置で測定し、組成式やそのMSフラグメントパターンを参照して構造解析します。当社の高感度NMRは、僅か10μgで二次元NMR測定が可能であり(図2)、高い解析技術により構造決定をしています。
図2 NMRスペクトルと構造決定されたバルサルタン不純物の例
約10μgの微量でNMR測定し正確な構造決定が可能になります。
おわりに
当社では、特長ある装置と高度な技術力で構造解析に対応しています。また、GMP対応も可能です。ぜひお問い合わせください。
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