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No.52「【最新技術紹介】放射光を利用した高度解析技術(1)」

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No.52(2017年07月)
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No.52 小特集:カーエレクトロニクスVol.2

【最新技術紹介】放射光を利用した高度解析技術(1)~in-situ 硬X線XAFS測定~
Advanced Analysis Technique with Synchrotron Radiation(1)

現在、高輝度放射光を利用したXAFS(X線吸収微細構造)測定のお取り扱いはございません。

はじめに

二次電池の電極材や触媒の開発では実際の動作環境中での化学状態変化を直接調べるその場(in-situ)解析が求められています。高輝度放射光を利用したXAFS(X線吸収微細構造)測定は、X線透過能の高さと迅速なデータ取得が可能であることから、in-situ解析技術として注目されています。XAFSはエネルギー範囲によって吸収端近傍の構造であるXANES(X線吸収端構造)と、それより高いエネルギー領域の振動構造であるEXAFS(広域X線吸収微細構造)とに分けられます。XANESからは着目元素の価数等の情報が、EXAFS振動の解析からは原子間距離等の情報が得られます。

リチウムイオン二次電池正極材料のin-situ XAFS 測定評価

図1のようにラミネート型電池セルごとX線を透過させることでin-situ測定が可能です。充放電しながら測定ができるため、電池を解体した場合に懸念される電極試料の変質の心配もありません。図2は車載用二次電池用の正極材料として注目されているLi1_x(Ni1/3 Mn1/3 Co1/3)O2のNi-K端のin-situ XANES測定結果です。充電が進むにつれて吸収ピークが高エネルギー側へシフト(=高価数へ変化)している様子が確認されます。特に充電初期での変化幅が大きく、過充電域ではほとんど価数変化が認められないことがわかります。Mn, Coでは充電に伴う価数変化が認められず、充電に伴う変化は主にNiが担っていることが確認されました。

図1 リチウムイオン二次電池in-situ XAFS測定イメージ
図1 リチウムイオン二次電池in-situ XAFS測定イメージ
図2 Ni-K端のin-situ XANESスペクトル
図2 Ni-K端のin-situ XANESスペクトル

おわりに

XAFSは試料状態の制限が少なく、液体や基板上の薄膜など様々な試料へ適用が可能です。構成元素によってはppmオーダーの微量元素の測定もできます。また、リチウムイオン二次電池以外にも触媒(燃料電池、排ガスなど)のin-situ測定も可能です。お客様のご要望に幅広く対応いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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