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No.55「赤外線カメラによる疲労き裂の遠隔検査技術」
JFE-TEC News No.55号 インフラ評価技術 特集号 記事一覧
赤外線カメラによる疲労き裂の遠隔検査技術
No.55 インフラ評価技術 特集号
赤外線カメラによる疲労き裂の遠隔検査技術~短時間ロックイン解析による欠陥検査技術~
Remote Inspection Technique of Fatigue Cracks by Infrared Camera
はじめに
社会・産業インフラの老朽化が進む中、設備・構造物に潜む疲労き裂の検出が重要となっています。これまでは、磁粉探傷法や超音波探傷法など、接触して検査する方法が一般的で、高所を検査する場合、足場の設置が必須となり、多大な時間・コストを要していました。
当社では、この課題を解決し、遠隔から簡便に疲労き裂を検出できる方法として、赤外線カメラを用いた新たな探傷法を開発しました。
疲労き裂検出の原理
橋梁などの構造物に疲労き裂がある場合、車両通過などによって瞬間的な荷重が作用すると、疲労き裂の先端に応力が集中します。
その結果、熱弾性効果から、引張の場合は温度低下が、圧縮の場合は温度上昇が生じます。
この微少な温度変化を望遠レンズ付きの赤外線カメラで測定することで、疲労き裂の遠隔検査を実現します。
短時間ロックイン解析結果
赤外線カメラの熱画像から温度変化を抽出する方法(ロックイン解析)は周期的な応力を対象とするもので、瞬間的に生じる応力は解析できません。当社では、ランダムな応力現象に対して、連続する熱画像を時間方向に少しずつ切出しながら解析を行う方法(短時間ロックイン解析)を開発しました。
クレーン内部の疲労き裂(写真1)の検査結果を紹介します。クレーンの走行を変更要因とした場合、従来のロックイン解析結果(写真2)では、温度変化は検知できません。一方、短時間ロックイン解析結果(写真3)では、疲労き裂が「可視化」されます。
おわりに
今後とも、先進的な画像処理技術を活用し、非破壊検査技術の向上に挑みます。お気軽にお問い合わせ下さい。
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