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No.56「抗菌・抗カビ試験の迅速化」

No.56 小特集:食品・バイオ評価技術

抗菌・抗カビ試験の迅速化
Rapid Analysis of Antibacterial and Antifungal Activity

はじめに

近年、抗菌・抗カビ加工製品が注目され、年間1兆円を超える巨大な国内市場が形成されています。工業製品や繊維製品の細菌やカビに対する抵抗性の評価には、日本工業規格(JIS)に規定された試験法があります。今回、当社で実施している抗菌・抗カビ試験に、アデノシン三リン酸(ATP)法を取り入れ、試験の迅速化を図りましたのでご紹介します。

抗カビ試験の迅速化

各種素材・材料、製品の抗カビ試験では、試験片に試験カビを塗布してから抗カビ性を判定するまでに、約一ヶ月の期間が必要でした。試験に時間がかかる要因としては、試験片の抗カビ性に抵抗して増殖してくるカビを肉眼観察で判定するために、数日から数週間の培養が必要であることがあげられます。当社では、微量なカビの検出にATP法を適用することで、この期間を半日に短縮させました。

ATP法の測定原理を図1に示します。ATPとは、生命活動のエネルギー源となる物質で、全ての生物中に存在します。ATPに、ホタルの発光酵素であるルシフェラーゼを反応させると、数秒内に発光が誘導されます。この発光は、検出器で高感度に検出することができるため、微量な生物量を迅速に定量することが可能となります。

図2に示すように、ATPの発光量はカビ胞子数と良好な相関性が認められ、かつATP法では100個という微量のカビを検出可能でした。一方、100個のカビはそのままでは目視できないため、従来法の肉眼観察による判定には、さらに数日間の培養が必要となります。

図1 ATP法の測定原理
図1 ATP法の測定原理
図2 カビ胞子数と発光量(ATP量)の相関性
図2 カビ胞子数と発光量(ATP量)の相関性

おわりに

このように試験期間を大幅に短縮し、短期間での評価が必要なご依頼にも迅速にお応えできるようになりました。当社では、この他にも細菌やカビを用いた抗菌・抗カビ試験を多数実施しておりますので、ぜひお問い合わせください。

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